2019 Fiscal Year Research-status Report
日中間の社会事業政策移転のメカニズムに関する研究:1920~40年代を中心に
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19K02224
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Research Institution | Japan Women's University |
Principal Investigator |
沈 潔 日本女子大学, 人間社会学部, 教授 (20305808)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
趙 軍 千葉商科大学, 商経学部, 教授 (30301831)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 社会事業政策 / 政策移転 / 社会福祉史 / 日中交流 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度において、近代中期における日中間の社会事業政策移転のメカニズムについて、基本資料の所蔵・整理そして政策の移転に必要な社会環境とその運行のメカニズムを分析する際の方法論について研究と学術交流活動を行った。 具体的な研究活動は下記の通りである。 ①2019年10月26日に、日本女子大学目白キャンパスで日中社会保障比較研究会・日本上海史研究会との共催で「国際シンポジウム:20世紀前半の東アジア社会福祉の交流と衝突」を開催し、北京大学歴史学系・中国社会科学院社会学研究所・杭州師範大学から研究者を迎え、日本にいる研究者と一緒に「歴史から見る社会事業政策の交流と衝突」をテーマにして研究発表と討論を行った。 ②2020年4月、『論文報告集:日中間の社会事業政策移転のメカニズムに関する研究:1920~40年代を中心に』(『論文報告集:20世紀前半の東アジア社会福祉のの学術史に関する研究及び方法論の構築』と合巻)を刊行し、本研究プロジェクトの成果の一部として、「中国学術界における抗戦時期の淪陥区の社会問題についての研究」(臧運〔示古〕)、「20世紀上半期の中国の慈善活動について」(楊団)、「写真の中の『虚構』――杭州陥落当初の難民救済の真相――」(周東華)、「国民政府期における善堂から『救済院』『慈善団体』への再編プロセス」(穐山新)、「東亜同文書院調査から見る1920-21年華北飢饉の災害調査と国内外の救済活動」(沈潔・趙軍)、「臧運〔示古〕・楊団両氏報告へのコメント」(小浜正子)などの研究論文を掲載した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
始動年度である平成31(2019)年度では、2020年2~3月に予定されていた中国での学会の参加は、コロナウイルスの影響で中止され、海外資料の収集が不可能になり、海外研究者たちとの学術交流もほとんどメールとSNSに依存せざるを得なくなった状態だったため。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度では、①研究方法の面において、現在国家間の人的往来がほとんどストップされている現状を鑑み、電子版資料の取り寄せとネット上の共同作業手法、さらにオンライン会議システムの活用などを通して、研究計画を当初の予定に沿うよう実施する。 ②研究内容の面において、引き続き関連する中国語資料を4種類に分けてその関連性を精査し、実務レベルの社会事業行政や政策移転の史実を掘り下げる。そして、「中国社会事業行政・政策の形成過程における日本からの影響」「社会事業人材育成における日本からの影響」「日本と中国の民間社会事業団体の交流」を考察作業の中心として解明に向ける研究を展開する予定である。
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Causes of Carryover |
世界的規模のコロナウィルス感染拡大の影響で、2020年2~3月に予定されている中国での学会の参加は、すべて中止されることになり、2019年度の旅費支出はほとんど未執行のままになっている。2020年夏以降、コロナウィルス感染拡大の影響が収束されれば、中断された中国での資料調査と国際学術交流を再開し、研究の遅れを取り戻す予定である。万が一人的移動が依然として制限される場合、それに代替できる学術交流の手法も模索している。
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