2021 Fiscal Year Research-status Report
ベトナムのハンセン病元患者の子どもが持つ「傷つきやすさ」とエンパワーメント支援
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19K02237
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Research Institution | Niigata College of Nursing |
Principal Investigator |
渡辺 弘之 新潟県立看護大学, 看護学部, 准教授 (10300097)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ハンセン病 / ベトナム / 子どもたち / QOL |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度はコロナウィルスの世界的な流行に伴い、予定していたベトナム現地での調査が実施できない状況であった。それまで、これまで収集した研究データの整理及び再分析を行った他、学術学会(日本ハンセン病学会)において研究報告を行った。 現時点で収集された調査データを用い、異なった統計分析(重み付けのない最小2乗法、尺度不変最小2乗法)で分析を行った(n=105)。これまでの分析では、一般群と元患者の子ども群との間には有意差がみられ、元患者の子ども群のQOLが有意に低いという結果になっていた。しかし、新たに分析を行った結果、元患者の子ども群場合、良好なQOLを保っているグループと、QOLの低いグループに別れるということが新たに発見された。 子どものQOL把握のツールとして本研究ではKid KINDLを用いているが、先行研究では、Kid KINDLには潜在変数を仮定する必要はないという結論が出ている(Stevanovic, D., 2009)。しかし、この先行研究は健康な児童を対象としたものであり、この結論については正しいとは限らず、更なる検討が必要であること、また本研究の結果から顕在変数に影響を与えている潜在変数があるのではないかという見解に達することとなった。 この分析結果から仮定されることとして、本研究の対象とするハンセン病元患者を親に持つ子どもたちは、1)健常児とは異なったQOL構造を持つのではないか、2)潜在的なVulnerability、身体的な脆弱さを抱えているのではないか、という点が挙げられ、Kid KINDLの下位尺度だけでは把握できない可能性がある。 また、社会的なマイノリティの立場に置かれている子どもたちの潜在的なQOLの特性を明らかにするツールは開発されておらず、QOLに影響を与える潜在的な因子の解明について引き続き分析を行っていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当該年度はベトナムにおいてもコロナウィルスが流行し、入国が出来ない状況であった。そのためこれまで収集したデータを再分析や、分析枠組みの再構築を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
コロナウィルスの流行の遷移については予測が難しいため、状況によってオンラインでのデータ収集も検討に含めていくこととする。
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Causes of Carryover |
2021年度は海外渡航調査が中止となり旅費の支出がなかったため。
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