2021 Fiscal Year Research-status Report
生活困窮者自立支援制度における就労訓練事業の実施プロセスに関する研究
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19K02240
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Research Institution | Okayama Prefectural University |
Principal Investigator |
岩満 賢次 岡山県立大学, 保健福祉学部, 教授 (00454893)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 生活困窮 / 就労訓練事業 / 労働統合型社会的企業 / 就労訓練事業の体制整備 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,生活困窮者自立支援制度が就労を通じた自立支援を目指していることから,就労訓練事業をどのような体制で実施するのが効果的であるのかを検討することにある.2021年度には,自立相談支援事業者の利用者の照会の方法を解明することを目的とし,研究を行った. 具体的には,日本国内の自立相談支援事業所(1,362団体,2021年7月現在)に対し,2021年11月24日から2022年1月31日までの間に,郵送によるアンケート調査により,実施した.回収数511通(回収率37.5%)であった. 自立相談支援事業所のうち,利用者の支援計画において,就労訓練事業を位置づけたことのある団体は21.1%であり,低調であることが伺えた.その理由として,「就労訓練事業の対象となる利用者がいなかった」「対象となる利用者がいたが,圏域内に適当な事業所がなかった」が多い傾向にあり,マッチングのミスマッチが起こっている現状が伺えた. 一方で,生活困窮者自立支援制度の就労訓練事業者以外の就労訓練事業を利用した割合は40.3%であり,「子ども・若者支援の就労支援プログラム(地域若者サポートステーション事業の協力企業等)」や「障害福祉の就労支援プログラム(障害者総合支援法の就労支援事業所(作業所,地域障害者職業センターに配置するジョブコーチ等)」が多い傾向にあった. 生活困窮者自立支援制度の就労訓練事業者では,「利用者の担う業務内容と,本人の希望・特性との適合性」や「利用者の通勤距離」など訓練に関わる内容を重視する傾向にある一方で,生活困窮者自立支援制度以外の就労訓練事業では,「利用者の担う業務内容と,本人の希望・特性との適合性」以外には,「居場所機能」や「相談機能」が重視される傾向があることが明らかとなった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症の影響により,海外の調査を実施できない状況が続いている.
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度には,2021年度の調査結果を踏まえ,就労訓練事業者を対象に,当初2021年度に予定していた「就労訓練事業者の利用者の受け入れの仕組みを解明すること」を解明することを目的として,研究を行う.就労訓練事業者の,地方自治体との関係性,そして自立相談支援事業者との関係性が、利用者への支援にどのように影響を与えているかを分析する予定である. しかしながら,国内外において,移動の制限等が続く見込みがあることから,オンラインを活用した聞き取り調査なども含め,調査方法を検討していく.
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の影響により,英国と韓国の実地調査を中止としたため.
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