2022 Fiscal Year Research-status Report
生活困窮者自立支援制度における就労訓練事業の実施プロセスに関する研究
Project/Area Number |
19K02240
|
Research Institution | Okayama Prefectural University |
Principal Investigator |
岩満 賢次 岡山県立大学, 保健福祉学部, 教授 (00454893)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 生活困窮 / 就労訓練事業 / 労働統合型社会的企業 / 就労訓練事業者の体制整備 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、生活困窮者自立支援制度が就労を通じた自立支援を目指していることから、就労訓練事業をどのような体制で実施するのが効果的であるのかを検討することにある。2022年度には、自立相談支援事業者の利用者の照会の方法を解明することを目的とし、研究を行った。具体的には、2021年度に日本国内の自立相談支援事業所に対して実施したアンケート調査をもとにそのデータの解析を行い、大都市、一般市、郡部に分類し、就労訓練事業の実施状況、実施プロセスの状況、生活困窮者自立支援制度以外の就労訓練プログラムの利用状況、就労訓練事業の実施時に重視すること、今後求めることなどを分析した。生活困窮者自立支援制度における就労訓練事業の実施プロセスを検討した結果、認定就労訓練事業者の利用を阻害している要因としては、「制度の対象となる利用者の状況」のみならず、「マッチング不調の問題」が見られた。また自立相談支援事業所が認定就労訓練事業者に求めていることは「就労率の高さ」等の就労促進機能ではなく、居場所機能や相談機能といった「福祉的機能」であることが明らかとなった。さらに、自治体規模別により、就労訓練事業への取り組みに乖離があることも明らかとなった。その結果に基づく学会報告を実施した。 あわせて、韓国の国民基礎生活保障法に基づく就労訓練事業を行う機関へのヒアリング調査を実施した。具体的にはソウル市内の地域自活センターにおいて、就労訓練事業の実態のヒアリング調査を実施し、日本の生活困窮者自立支援制度との比較検討を行った。なお、イギリスについては、新型コロナウイルス感染症の影響に伴い実地調査を行えない状況が続いており、文献調査を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症の影響により、海外の調査を実施できない状況が続いている。
|
Strategy for Future Research Activity |
これまで日本国内の就労訓練事業を認定する地方自治体、生活困窮者自立支援制度の自立相談支援機関へのアンケート調査を実施してきたことを踏まえ、2023年度には実際に就労訓練を行う事業者へのヒアリング調査を実施していく。あわせて海外調査も実施する。韓国の就労訓練事業については、2022年度に実施した実地調査をもとに、追加調査を実施する。イギリスにおいても就労訓練事業を行う相談窓口や実際に就労訓練を行う社会的企業へのヒアリング調査を実施する予定である。 これらの日英韓の調査をもとに、就労訓練事業の実施プロセスを解明していく。
|
Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の影響により、英国の実地調査を中止としたため、次年度使用額が生じている。次年度には、海外研究者との交流を活性化するために、海外研究者の招へいや海外への渡航の経費に使用する予定である。
|
Research Products
(7 results)