2019 Fiscal Year Research-status Report
Human resource development of social welfare professionals in Cambodia-Promotional systematization of human resource training and development of care workers-
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19K02242
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Research Institution | Tohoku Fukushi University |
Principal Investigator |
赤塚 俊治 東北福祉大学, 総合福祉学部, 教授 (40285656)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
後藤 美恵子 東北福祉大学, 総合福祉学部, 准教授 (50347902)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | カンボジア / 高齢者福祉 / 社会福祉システム / 社会福祉専門職 / 介護職 / 介護職研修 / 社会福祉専門教育 / 社会福祉制度 |
Outline of Annual Research Achievements |
カンボジアで社会福祉職の人材養成・育成するための推進システムの構築に向けた実証研究を展開してきた。 当初の計画では、首都プノンペンにある国内初の国立高齢者ケアハウスセンターの介護職への調査やセミナーを実施する予定であったが、同センターの開設が遅れたために、今後のカンボジアにおける人材育成の可能性を検証する意味で研究介入のターゲットを仏教寺院に軌道修正して調査及びセミナーを実施した。 カンボジアの仏教寺院は伝統的に社会的・人道的支援活動として身寄りのない高齢者への生活支援が行われ、社会福祉の補完的役割を果たしている。しかしながら仏教寺院では高齢者に対する専門的な知識や技術を持ち併せていない現状がある。以上のような背景を踏まえ、専門職の人材養成・育成を念頭に、今後の仏教寺院の役割と可能性から、2019年8月11日から15日までプノンペンにある仏教寺院タンにおいて「高齢者福祉セミナーINプノンペン」の開催(参加者125名)と調査(N=77)を実施した。仏教寺院で高齢者福祉セミナーを開催したのは国内初であった。セミナーでは、高齢者に対する専門的ケアとして「介護の本質」と「介護技術の基本」について講義を行った。また、調査は調査票を用いて、高齢者に対するイメージと職務意識の構造の分析を行った結果、高齢者に対する肯定的な評価が高く、さらに職務意識の構造としては、職務内容、職務関与、職務環境(人間関係含む)が高く、人材養成・育成の対象として期待できることが示唆された。今回の研究活動の実績として、介護職の推進システムに導入できることが調査分析から証明された。また、2020年度の研究活動計画の予備的調査として2020年2月から3月にかけてホームレスの高齢者を対象に聞き取り調査を実施した。研究成果は日本社会福祉学会で研究発表を行い、データの一部を国家政策の参考資料として政府機関に提供した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
カンボジア王国社会福祉省(以下、社会福祉省と略す)でアドバイザーを務めていることもあって、カンボジア国内の国家政策情報が入手することができることは研究活動をする上で大きい。そのことで研究活動を円滑に進めるのには大きな優位性をもたらしている。さらには研究活動を実施する上では、社会福祉省高齢者福祉局のスタッフから国家政策に関する情報収集や課題および問題点を検証するための機会を得られたことは、本研究課題である「カンボジアの社会福祉専門職の人材開発-介護職の人材養成・育成の推進システム化-」に対して、研究計画をスムーズに展開することが出来ている。とくに、研究活動を実施する際、政府機関からの研究活動の許可が認められることは容易であり、関係機関との調整は、スムーズに進んでいる。本研究では、政府機関との信頼関係が構築できたことによって、研究活動では大きな研究成果を得ている。2019年度の研究活動では、社会福祉省と国立仏教研究所の支援を受けて実施した。カンボジア国内では、社会福祉分野は歴史が浅く、研究文献や資料も皆無の中での研究活動ではあるが、今後のカンボジアにおける社会福祉政策や高齢者福祉政策の現状を把握している高齢者福祉局のスタッフではあるが、社会福祉に関する専門用語については理解不足である。しかし、そうした状況下であっても「官僚」たちは、自国の社会福祉はもとより高齢者福祉の発展させるために仕事をしている。2019年度から2021年度の3年間で研究課題「カンボジアの社会福祉専門職の人材開発-介護職の人材養成・育成の推進システム化-」を探究するための基礎基盤としての研究活動は、当初に計画していた以上に研究成果を得ることが出来た。その要因として、研究課題である社会福祉専門職の人材開発を検証が出来たことであり、さらには、社会福祉専門職の開発方法研究の糸口を探究することが出来たことにある。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究活動においては、研究成果をさらなる発展をさせるにも政府機関との関係性を強化することは重要である。2020年度は仏教寺院で高齢者デイサービスを実施し、高齢者の生活意識の変化やわが国の介護の基本知識や基本技術がカンボジア人の生活環境に適するかを分析し、学術的な発想から多面的な視点で本研究の独創性を見出す研究を実施する。同時にカンボジア初の国立高齢者ケア―センターが開設し、デイサービスがスタートした場合は、介護職のスタッフと利用者に対して調査を実施する。この点は、社会福祉省と綿密な連携を図りながら、研究成果の精査を高めたいと考えている。 しかし、深刻化している新型コロナウイルスが、カンボジア国内でも影響して自粛が行われている。政府機関のスタッフは在宅勤務を余儀なくされている。また、カンボジア初の国立高齢者ケア―センターは2020年4月1日に開設したが、管理責任者だけが社会福祉省高齢者福祉局から人事異動で2名が勤務している。介護職となる人材がいまだに確保されてはいない状況である。現地での研究調査は厳しい現状にあることは否めないが2020年度研究計画は、現地での研究活動期間が大幅に変更することはあっても、研究活動の内容を変更することは考えてはいない。もちろん前提になるのは、カンボジア政府の入国制限の緩和と日本政府の新型コロナウイルス対策を慎重に見極める必要がある。2020年度では、カンボジアに関する文献分析や資料収集を行い、政治、経済、文化、家族変容など研究の骨格となる社会動向を整理しながら、現地での研究活動を実施し、高齢者の介護意識、カンボジア人の生活環境に適する介護の基本知識や基本技術を実証的に研究分析し、学術的に多面的な視点で本研究の独創性を見出し「カンボジアの社会福祉専門職の人材開発-介護職の人材養成・育成の推進システム化-」を精査して、さらなる研究活動を向上させる。
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Causes of Carryover |
2020年2月16日から3月30日までの日程計画でカンボジアのプノンペン市内でホームレス生活をしている高齢者の生活実態調査を目的に調査を実施した。この研究活動は、次年度の研究活動の予備的調査であった。しかし、新型コロナウイルス感染症の影響がカンボジア国内にも影響したことで、日本で購入したチケットは、使用出来なくなった。その理由は、日本政府が入国制限を実施したことによって、搭乗予定であったアシアナ航空が日本への全便運休になってしまった。このため大学の担当部署と連絡を取り新し片道チケットの購入することを承諾を得て、帰国するための便として、全日空便を購入した。このような状況を踏まえて、帰国予定日を早め3月19日の便でプノンペン空港から出国し、20日に到着した成田空港経由で仙台空港に到着した。仙台空港からは、公共交通機関を利用せず自家用車で自宅に帰った。2019年度の残金については、次年度にプノンペンの国立高齢者ケアセンターで実施する実証的研究を行う際に謝金として使用する計画である。
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Research Products
(3 results)