2019 Fiscal Year Research-status Report
Enhancing expertise in "after-school day service"for disabled students
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19K02243
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Research Institution | Tokyo University of Social Welfare |
Principal Investigator |
立松 英子 東京福祉大学, 社会福祉学部, 教授 (20510613)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 発達支援 / 専門性向上 / 放課後等デイサービス / 児童発達支援 / 認知発達 / 行動障害 / 医療的ケア / 非言語的コミュニケーション |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、放課後等デイサービスにおける、①直接支援者の専門性向上に向けた発達的視点からの事例研究、②発達支援を中心とした、質問紙による実態調査、及び③文献研究によって構成する計画である。今年度は特に、質問紙調査に向けて、調査目的の理解を図るネットワーク作りに注力した。 1 直接支援者との勉強会:群馬県下4箇所の放課後等デイサービスと発達支援の勉強会(事例検討会)を続けて4年目になる。今年度も、月1回の実施計画により実行した。ただし、最終回(12/18)は新型コロナウィルスの影響で中止となった。 2 学会発表:8月6日、英国のグラスゴー市で行なわれた、IASSIDD 16th (第16回世界知的/発達障害会議)で、認知発達と行動との関係を検討した事例についての研究発表を行った。発表テーマは、「言葉によるコミュニケーションに乏しく、攻撃的な行動のある10代の青年に対する適切なアプローチのためのシンボル機能と視覚運動機能の測定(和訳)」であった。 3 質問紙調査:①趣旨理解を図る講演会:質問紙調査の趣旨理解を図る目的を兼ね、児童発達支援に関わる職員を対象に専門性向上事業に協力する形での講演会を、群馬県2箇所と山口県の計3箇所で行ない、調査のお願いと目的説明を行なった。他に、福島県と横浜市でも講演会を計画したが、新型コロナウィルスの影響で中止となったので、これらの地域では、広域的に児童発達支援を担当する行政官や児童発達支援連絡協議会の代表者などとメールでやりとりし、質問紙調査の予告と趣旨の伝達をお願いした。 ②調査用紙の配布:上記の手続きにより、依頼状での主旨説明以外にも何らかの形で研究の目的が伝わると考えられた地域(群馬県、福島県、山口県、横浜市)の放課後等デイサービス事業所・施設約400箇所に、質問紙を発送した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1 直接支援者との勉強会:直接支援者との勉強会は、計7回(5/8、6/19、7/10、9/25、10/16、11/20、12/18)計画した。5月、6月は発達評価や評価後の方針についての研修会を行ない、7月から4つの事業所が交代でビデオを使った事例報告を行なった。事業所毎に支援ニーズの高い事例が1-3名報告された。協力を承諾された保護者には、個人情報の活用や、勉強会における指導場面のビデオの使用について、文書でご了解いただいている。 2 学会発表:IASSIDDでの発表内容は、「重度の知的障害には多様で質の異なる発達段階が含まれる。認知発達の評価でその違いを尺度化することにより、直接支援にあたる人々や保護者と方針の共有を図ることができた」ということである。 来年度も、IASSIDD (第5回アジア太平洋定例会議:インド、ハイデラバード)に、「シンボル機能と視知覚の発達は重度の知的障害や自閉スペクトラム症を伴う青年の行動障害に影響を与えるか?(和訳)」をテーマに抄録を提出したが、先日、事務局より中止の連絡が入った。 3 質問紙調査:【趣旨理解を図るための講演会】前橋市では福祉施設主催で講演会を行なった。参加者は約80名であった。山口県では発達障害児地域支援体制強化事業により講演会を行なった。参加者は約60名であった。群馬県では障害児通所支援連絡協議会主催で研修会を行なった。参加者は約60名であった。講演の前後で参加者である児童発達支援の直接支援者や管理者、保護者に、質問紙調査の趣旨を説明した。加えて、訪問できなかった福島県、横浜市等の行政官や事業所管理者とメールで質問紙(案)を数回に渡り検討し、質問内容や形式を確定した。 【調査用紙の配布】上記の地域の放課後等デイサービス事業所・施設約400箇所の名簿を作成し、3月末、確定した質問紙を発送した。現在約40通の回答が戻り、入力中である。
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Strategy for Future Research Activity |
1 事例研究:来年度の勉強会は、新型コロナウィルス感染症に関する動向が安定するまで計画を立てることができない。研究代表者が当該事業所に出向いての事例のアセスメント、保護者面談も、当面実施の目途がたたないが、平成26年度から実施してきた勉強会(事例検討)の資料や、個別の支援計画、発達評価(太田ステージ評価、鳥の絵課題)、適応行動評価(VinelandⅡ適応行動尺度)、直接支援者による学習の記録などを整理し、分析する予定である。 2 学会発表:国内・海外含め多くの関連学会が中止の決断をしている中、論文投稿に切り替え、上記の資料をもとに執筆を進める。 3 質問紙調査:100部以上の回答を期待しているが、締め切りである4月30日を目処に、数が少なければ他地域への質問紙送付も視野に入れる。回答数が十分に集まったら統計的分析を始める。 4 文献研究:国内の放課後等デイサービスに関する論文数をCiniiで調査したところ、125論文発表されていた。また、一般社団法人全国児童発達支援協議会の調査報告書や、当センターホームページから提供されている資料、政府からの通知なども含めて、文献レビューを進め、研究目的に沿った分析・考察を進めていく。
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