2020 Fiscal Year Research-status Report
A Comparative Study on support policies and activities in the Defined Contribution Age - Focusing on situation in the U.S.
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19K02245
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
吉田 健三 青山学院大学, 経済学部, 教授 (80368844)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | アメリカ / 年金 / 401(k)プラン / SECURE Act / モデル給付 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の核心的な問いは「確定拠出型年金を有効に機能させる政策や支援はどのようなものか?」であった。この問いに取り組むため、本年度は第一に確定拠出型年金がすでに普及しているアメリカにおいて、国民の退職後所得がどのように変わったのか、第二に実際の年金政策がどのように変化したのか、という点について研究を行なった。 第一の取り組みは、「アメリカ年金システムの再構築:モデル給付における安定と変化」というテーマに沿って分析した。これは退職後の変化を、1995年退職者および2015年退職者のいくつかのモデルケースを設定することで描き出す試みである。全体としての保障量における安定性と、内実の不安定性の拡大要因について分析することができた。 第二の取り組みは、2019年に成立したSetting Every Community Up for Retirement Enhancement Act (以下「SECURE Act」)の法律の背景と内容を分析するものである。同法は2006年年金保護法以来の大きな年金改革として注目されているが、その内容は相当に難解である。ここでは公聴会に招聘されたUTC社の確定拠出型プランを起点として、アメリカ議会において401(k)プランが現代的なモデルだと理解され、そこに至るためにどのようなアプローチが必要であるのか、という点について検討した。 以上の取り組みは、まず何よりも現地の実態を明らかにする、という作業であった。モデルケースに基づいて得られた知見を元に、今後は現実の統計その他の資料の精査が必要となる。またSECURE Actの成立過程で浮かびがった諸論点は、確定拠出型プランをめぐる世界的な動向を考察する一つの基準となるだろう。 コロナ禍という状況において現地調査や資料の入手などに著しい制約が生まれたが、そのため従来から研究方法について蓄積のあるアメリカに研究対象を絞り込むことで一定の進捗を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
発表の成果については、コロナ禍の中でも上記のように概ね順調な進捗を得ている。ただし、ヨーロッパやアメリカ、中国現地での調査や資料収集に著しい制約が発生した。本年度に遂行を予定していた訪問は全てキャンセルとなった。今後の成果発表については不透明な部分も多い。研究方法、対象の調整を含めた検討が必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
上記の方針に沿って引き続き研究を進めていく。コロナ禍の中でも進められるようオンラインでの資料収集、またコンタクトを試みる一方で、文献検討や資料の整理、精査により大きな比重を置いていく。また、国際的な移動、ヒアリング対象の新規開拓が著しく制約される中、特に従来の蓄積やコネクションがあるアメリカ研究により比重を移していく必要があるものと思われる。
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Causes of Carryover |
コロナ禍のため、計画していた現地調査が全て実施できなかった。この状況は今後も継続する可能性があるため、研究活動を業界紙の確保、資料整理に比重を移していく必要があると思われる。
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Research Products
(2 results)