2023 Fiscal Year Annual Research Report
介護職による在宅の医療的ケアの安全性向上に向けた包括的分析と事故防止モデルの構築
Project/Area Number |
19K02254
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Research Institution | Teikyo University of Science & Technology |
Principal Investigator |
楠永 敏惠 帝京科学大学, 医療科学部, 教授 (90363788)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 医療的ケア / 介護職 / 在宅 / 喀痰吸引 / 経管栄養 / ヒューマンエラー / リスクマネジメント / グレーゾーン |
Outline of Annual Research Achievements |
期間全体の研究方法として、①ホームヘルパーの医療的ケアに関するヒューマンエラーの文献レビュー、②医療的ケアを受ける利用者に対するインタビュー調査の分析、③医療的ケアを行うホームヘルパーへのインタビューおよび参与観察と分析を実施した。 ①先行研究におけるホームヘルパーの医療的ケアのエラーについては、詳細は記載されていなかった。そのため、ホームヘルパーのケア全般についてヒューマンエラーをレビューした。その結果、転倒、転落、骨折、創傷、誤投薬などの広範囲なエラーが報告されていた。②医療的ケアを受ける利用者のニーズとして「安全で確実なケアを受けたい」「介護職ができる医行為の範囲を広げてほしい」「家族介護者の負担を軽減してほしい」「ケアの体制や使用機器を改善してほしい」が挙げられた。③医療的ケアを行うホームヘルパーへのインタビューおよび参与観察から、非医療職が実施できない医行為であるが現場で求められる「グレーゾーン」のケアがあることがわかった。それには、利用者のニーズである「たんの吸引を規定よりも深く行うこと」や、現場で当然に行われている「胃ろうからの薬の投与」などが含まれていた。ヒューマンエラーに関しては、医療的ケア実施の際の重大な事故はなかったが、事故に至らないインシデントは多数語られた。 医療的ケアの事故防止のためには、事故につながるグレーゾーンを開示して実施範囲を検討し安全を確保すること、連携や報告の体制整備、適切な福祉機器の使用、ホームヘルパーの個々の状況に合わせた研修などが必要と考えられた。
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