2019 Fiscal Year Research-status Report
合理的配慮の「副作用」に対する予防的介入実践に関する研究
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19K02263
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
星加 良司 東京大学, 大学院教育学研究科(教育学部), 准教授 (40418645)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 合理的配慮 / 障害の社会モデル / 教育プログラム |
Outline of Annual Research Achievements |
「障害の社会モデル」に立脚して法制化された合理的配慮は、法施行後徐々に社会に普及・定着しつつあるが、その裏面で、機能障害の有無や特質が焦点化し、「善意」や「思いやり」等と結びついた合理的配慮理解が助長されるなど、障害問題の個人化・慈善化につながる危うさが顕在化しつつある。こうした問題意識を踏まえ、本研究では、合理的配慮の中核的要素である具体的な援助行動を、障害の社会モデルに基づく質の高いものに転換するための実践的な調査研究を行うことを目的とする。具体的には、A.援助行動に対する意識と障害者観に関する調査研究、B.援助行動の質に関する調査研究、C.適切な意識形成を促す教材開発研究、D.援助行動の質を高めるためのプログラム開発研究を進める。 このうち2019年度は、A.については、実施済のアンケート調査の二次分析により、援助行動に対する意識と障害者観との関係を分析し、両者の関係を把握するために最適化した調査項目の作成を進めた。またB.については、援助行動の質を評価するための基準と指標に関する開発研究を進め、C.については、開発済のeラーニングや動画コンテンツの視聴経験が援助行動に対する意識及び障害者観に与える影響に関する理論研究を進めた。なお、今般のCOVID-19の流行に伴う社会情勢の変化を受け、対人サービス場面における援助行動に関する調査が一部困難になったことから、研究計画の機動的な見直しを行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
課題Aについては順調に研究が進捗しているものの、課題B・Cについては、援助行動の質に関する実証的な調査や、対面を想定した研修プログラムの効果検証研究が含まれており、今般のCOVID-19の流行に伴う社会情勢の変化を受け、研究計画を一部見直す必要が出てきたことから、調査設計やプログラム開発について研究の遅延が生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の成果を踏まえ、研究計画に沿って、課題A~Dに関する調査研究及び教材・プログラム開発研究を着実に実施する。研究成果については、関連学会等で適宜発表を行うほか(2020年度~2022年度)、公開シンポジウムを開催して広く成果を公表するとともに(2022年度)、ウェブサイト等で公開して社会的な利用を促進する。 なお、研究の実施に当たっては、株式会社ジェーティービー、及び、公益財団法人ケアフィット共育機構から調査実施に関してフィールド提供の協力を得るほか、研究協力者として、飯野由里子(東京大学・特任助教)、中野泰志(慶應義塾大学・教授)、西倉実季(和歌山大学・准教授)、後藤悠里(福山市立大学・特任講師)と定期的に議論の場を設け、研究を遂行する。
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Causes of Carryover |
(理由) COVID-19の流行に伴う社会情勢の変化を受け、対人サービス場面における援助行動に関する調査が一部困難になったため、調査の実施と分析にかかる経費の執行に遅延が生じた。 (使用計画) 研究計画の一部見直しにより、次年度においては、ポストコロナの援助行動のあり方に関するヒヤリング調査やモニタリング手法のオンライン化に関して経費を執行する予定である。その他計画に沿って進行している調査研究等においては、当初予定に従って研究費を執行する。
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