2023 Fiscal Year Annual Research Report
人口高齢化等の変化に対応した医療保険者の編成に関する国際比較研究
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19K02267
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
松本 由美 大分大学, 福祉健康科学部, 教授 (90627689)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 医療保険 / 保険者 / フランス / ドイツ |
Outline of Annual Research Achievements |
令和5年度は、これまでに実施したフランス・ドイツの保険者編成に関する比較考察をふまえて、日本の医療保険の保険者編成について考えるために重要ないくつかのテーマに関して研究を進めた。まず、令和4年度に実施した医療保険における世代間連帯の研究をふまえて、自己負担のあり方に関するフランスとドイツの比較研究を行った。この研究成果をまとめて、「医療保険における自己負担のあり方―ドイツ・フランスの慢性疾患への対応―」として専門雑誌に発表した。本研究を通じて、医療保険の自己負担のあり方を考えるうえでは「疾病の特性」、「年齢」および「所得」をどのように考慮するかが重要であることが分かった。さらにフランスとドイツでは「年齢」が考慮されないことについて考察し、医療保険者の編成における「年齢」の意味を考えるための一つの手がかりを得ることができた。また、 令和4年度の研究活動を通じて、比較対象国における保険者編成について検討を深めるためには、それぞれの国の医療保険における「連帯」のあり方に着目し、さらに考察を進めていく必要があることが分かった。このような問題意識をふまえて研究を進め、研究成果を社会保障研究会において「医療保険の編成と連帯のあり方」として報告した。本報告では、フランスの公・民の医療保険者の編成について、疾病リスクをめぐる連帯のあり方という観点から歴史的に分析した。このような分析視点から保険者編成について検討し、比較考察を行うことによって、医療保険をめぐる問題の構造や政策の方向性が明らかになると考えられる。 また、令和5年10月末から11月初めに、ドイツのマックスプランク社会法・社会政策研究所において、本研究全体のまとめを行うために必要な文献収集等を行うことができた。これをふまえて、研究事業全体の研究成果のとりまとめを行った。
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