2019 Fiscal Year Research-status Report
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19K02268
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Research Institution | Saitama Prefectural University |
Principal Investigator |
新井 利民 埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 准教授 (00336497)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 災害福祉 / 避難行動要支援者 / 福祉避難所 / 防災訓練 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度は既存の統計資料や報告書等の収集と分析を行った。新聞記事データベースを用いて、2011年4月から2018年までの記事のうち、「災害時要援護者」「避難行動要支援者」「福祉避難所」のキーワードで検索を行い、地域の事例や実績が掲載されている記事のみを抽出した。その結果、「災害時要援護者」に関する記事は96件、「避難行動要支援者」に関する記事は55件、「福祉避難所」に関する記事は261件あった。東日本大震災以降、数々の災害が発生する中で、実際の福祉避難所の開設や整備計画に関するものが記事として取り上げられることが多いが、それに比して避難に関わる記事については、2018年の西日本豪雨災害において強く注目されるに至ったことが示唆された。記事内容を分析し、各地の事例のデータベース化を図った。 また、内閣府が調査し11月に発表した避難行動要支援者名簿策定状況に関する都道府県データをもちいて、自治体間の比較研究を行うための基礎的な整理を行った。避難行動要支援者名簿に掲載する対象者に関しては、精神障害者は全国平均で92.7%の自治体が要件にしているものの、新潟県69.0%、東京都72.9%、富山県80.0%、石川県84.2%などとなっていた。また、「自治会等が支援の必要を認めた者」を要件の一つとしている自治体は全国で41.9%となっているが、東京都・千葉県・愛知県・大阪府などは2割前後で首都圏において低調であった。避難行動要支援者名簿の提供先に関しては、全国の79.1%の自治体が消防本部・消防署等に提供しているが、鳥取県・沖縄県・兵庫県・静岡県では5割前後であった。社会福祉協議会への名簿提供も、全国では71.3%の市町村で行われているが、静岡県・神奈川県4割弱、奈良県・鳥取県でも5割に満たなかった。これらの地域性はどのような要因によるものなのかについて、市町村データの検討を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
秋から冬にかけて事例調査に出向く予定であったが、度重なる台風被害に関わる支援活動と、実態把握調査が重なり、本研究そのものの進行に遅れが出てしまった。また冬にかけてサーベイ調査を行う予定であったが、新型コロナウィルス対策に関わって自治体調査をこの時期に行うことは得策ではないと判断し、延期に至った。加えて、勤務先の異動があり、十分な文献および資料整理と分析を行うことができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
自治体へのサーベイ調査や訪問調査に関しては、新型コロナウイルス対策の状況を勘案しながら、調査先の負担にならないような時期と方法を見計らい実施に移したい。場合によっては、研究期間を延長し、今年度も既存データの収集と整理につとめ、サーベイや訪問調査は状況が落ちついてから実施することなどを検討する。
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Causes of Carryover |
当初予定していた事例調査による訪問旅費と、サーベイ調査に必要なデータ入力・分析等の諸経費の使用ができなかったことによる。 2020年度は、新型コロナウイルス対策の状況を踏まえながら、研究活動の遅れを取り戻すために、訪問調査やサーベイ調査の時期を十分に見計らい、適切に執行できるよう努める。
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