2020 Fiscal Year Research-status Report
住民福祉活動の拠点確保における空き家活用方策に関する研究
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19K02269
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Research Institution | Kanagawa University of Human Services |
Principal Investigator |
中村 美安子 神奈川県立保健福祉大学, 保健福祉学部, 教授 (30363857)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大原 一興 横浜国立大学, 大学院都市イノベーション研究院, 教授 (10194268)
藤岡 泰寛 横浜国立大学, 大学院都市イノベーション研究院, 准教授 (80322098)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 住民福祉活動拠点 / 空き家活用 / 成年後見人 / 空き家情報 |
Outline of Annual Research Achievements |
住民福祉活動が生活支援活動に取り組む際の活動拠点を空き家活用によって確保するための具体的方策を明らかにするため、初年度である2019年度、空き家管理に苦慮している専門職の成年後見人のうち不動産案件を担当することの多い司法書士(神奈川県内全数389名)に対するアンケート調査(「空き家活用の際の条件対するアンケート」)を実施し、紛争のない物件であれば借り受けの可能性があり、借り受ける場合に住民福祉活動団体が整えるべき必須条件は「速やかな撤去」「身元の確実性」であり、一般的な賃貸の場合には要求されない条件である「当初の片づけや修理」については意見が分かれ、必須ではなく無料又は低額で借り受ける可能性を高めるための望ましい条件であることが把握された。2020年度は、2019年度調査の結果を検証するため、専門職後見人のうち不動産案件を担当することが少ない社会福祉士と名簿提供が困難な弁護士を除いた行政書士に対し「神奈川県内成年後見人が管理する空き家に関する調査」(全数483名)を司法書士調査と同内容で実施した。その結果、管理している空き家が活動拠点に適した物件である者が4~6割、より適した物件である者が3.5割あり、物件数は神奈川県内に107~221戸程度あると推定された。また、活動団体がこれら物件を無料又は低額で借り受けようとすることについては、紛争のない物件で、一般的な賃貸の場合と同様の条件以上の条件を満たしていれば、検討できる可能性がある者が6割あること、空き家を求める活動団体の情報を後見人全体に流すような仕組みがあれば協力する可能性のある者が7割あることが明らかとなった。修繕や当初の家財の整理や片付けを借受団体が実施することや契約主体の公共性の高さなどは、借り受ける可能性を高める条件であることが新ためて確認できた。なお、司法書士と行政書士の結果に大きな差はなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2019年度の司法書士調査に続き行政書士に対し「神奈川県内成年後見人が管理する空き家に関する調査」を全数に実施することができ、2019年度調査の結果を検証することができた。しかし、2019年度に全国の市町村社会福祉協議会に実施した調査で、空き家活用する地区をもつと回答した町村社会福祉協議会(47か所)のうち、行事型にとどまらない生活支援型の活動実態があり、担当者が地区の状況を把握できている6カ所について、2020年度中にその実態をより詳しく把握するための現地訪問調査の実施を予定していたが、新型コロナの感染拡大によりその実施が困難となったため。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナの感染拡大状況を考慮しつつ、2020年度に実施予定であった空き家活用する地区をもつと回答した市町村社会福祉協議会への現地訪問調査を実施し、これまでの研究成果をもとに、関係者の意見を収集し、具体的な手引きの作成を視野に活動拠点の条件と空き家活用に関する実践的方策を検討する。
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Causes of Carryover |
現地訪問調査の実施を予定していたが、新型コロナの感染拡大によりその実施が困難となったため旅費と調査協力謝礼、図面作成に関する人件費等が不要となった。また、研究発表のための建築学会への参加及び本研究に関するミーティングがオンライン実施となったことによりその交通費も不要となったため次年度繰り越しが生じた。2021年度は、新型コロナの状況をみながら、2020年度に実施できなかった現地訪問調査の実施を予定する。
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