2022 Fiscal Year Research-status Report
単身・中年・男性生活困窮者のタイプ別就労支援プログラム開発に関する研究
Project/Area Number |
19K02270
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Research Institution | Gifu College of Nursing |
Principal Investigator |
杉野 緑 岐阜県立看護大学, 看護学部, 非常勤講師 (70326106)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
朝比奈 朋子 東京成徳大学, 子ども学部, 准教授 (00438996)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 生活困窮者自立支援法 / 就労支援 / 単身 / 不安定低所得階層 / 生活保護 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.B市生活困窮者自立支援相談事業利用者調査の継続。本研究は、生活困窮者自立支援法による自立支援相談事業利用者のうち単身・中年・男性の就労と健康状態に着目したタイプ別就労支援プログラム開発に関する研究である。2019年度からB市生活困窮者自立支援制度利用者調査を行い、2022年度は支援プラン作成者145ケースのうち単身世帯45ケースについてまとめた。平均年齢40.5歳とプラン作成ケース全体より若く、短期間労働の繰り返しなど職歴は同様の傾向であったが、①「相談時職業有・健康状態良くない」と②「相談時職業無・健康状態良い」の2グループに大別された。相談までの離職期間は「6か月未満」が半数を占めており、離職後短期間で相談に至っていることが示された。就労継続阻害要因として「慢性的疾患による健康問題」と「短期間・不安定就労の広がり」が示唆された。並行して、すでに調査を行ったA市利用者について住居費の負担を明らかにするために家賃滞納世帯についてまとめ研究成果を公表した。2.学習会の開催。B市調査結果を検討するために「ひきこもり」「債務」「派遣労働」「社会階層研究」について専門の研究者を講師に招き計5回の学習会を開催した。3.オンラインによるオランダ調査実施。生活困窮者支援における地域特性を踏まえた就労支援の在り方について示唆を得るためにオンラインによるオランダ調査を行った。都市の規模、地域特性が異なる3都市を対象とした。現行の公的扶助制度Participatiewet:PW「社会・労働市場参加法」2015年施行により自治体の責務はより重要となり、共通して生活困窮の「予防」に施策の重点が置かれていることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症拡大により研究者の移動等制約があったこと、また生活困窮者自立支援事業受託事業者ら関係者は業務多忙を極め、研究者間の打ち合わせや関係者との面談等ができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
1.B市調査結果について単身世帯に加えて複数人世帯の就労と健康についてまとめ、世帯類型による就労阻害要因、就労継続阻害要因の相違について考察を行い、単身世帯の阻害要因の特徴を把握する。2.就労支援プログラム開発の要素を明らかにするために、補足的聞き取り調査を行う。慢性的健康問題を抱える単身・中年・男性への支援の実際について地域で支援を行っている看護専門職から聞き取りを行う。また、就労支援の実際について公共職業安定所等支援機関職員から聞き取りを行う。3.1と2の結果を踏まえて、B市生活困窮者自立相談事業受託事業者と就労支援プログラム開発の要素について検討会を行う。4.B市調査対象者を大規模都市ベットタウン居住者として位置づけ、その社会的特徴について考察を行う。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症拡大により研究全体が遅れているために次年度使用額が生じた。今後は、B市調査結果の分析を進め、関係する支援機関等を対象に補足的聞き取り調査を行い、これらにより得られた就労支援プログラム開発の要素についてB市生活困窮者相談事業受託事業者と検討会を行う。ベットタウン居住者のうち単身・中年・男性生活困窮者のタイプ別就労支援プログラムに含むべき要素について明らかにする。これらの調査・分析、補足的聞き取り調査、検討会を開催するために使用する。
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Research Products
(2 results)