2019 Fiscal Year Research-status Report
Practice of crisis plan and development of training program in the community life support for people with psychiatric disabilities.
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19K02274
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Research Institution | 八戸学院大学 |
Principal Investigator |
狩野 俊介 (狩野俊介) 八戸学院大学, 健康医療学部, 講師 (40838695)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野村 照幸 独立行政法人国立病院機構さいがた医療センター(臨床研究部), 臨床研究部, 心理療法士 (70859462)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | クライシス・プラン / 精神障害 / 地域生活支援 / 権利擁護 / エンパワメント / リカバリー / ストレングス |
Outline of Annual Research Achievements |
研究は、大きく2つの方向の調査を実施した。 調査1(理論研究):精神障害者の地域生活支援のためのクライシス・プラン(CP)に関連する先行研究の文献レビューとして、アメリカのPsychiatric Advance Directive(PAD)とイギリスのJoint Crisis Plan(JCP)を対象に実施した。その結果、精神障害者の非自発的入院を減少させ、支援関係の改善が得られる最もエビデンスレベルの高いものとしてJCPがあげられていた。JCPを支援に用いることで、精神障害者の自己決定とエンパワメントを高めることが期待できる。一方で、JCPの課題として支援者や精神障害者本人に十分に地域生活上で活用されていない課題が指摘されていた。なお、国内のCPに関する先行研究についてもレビューしたが、極めて限定的な状況であり、具体的で効果的な作成方法や活用方法について実証的な研究は存在していなかった。 調査2(質的研究):精神障害者の地域生活支援においてCPの作成方法と活用方法の実際を把握することを目的として、精神科病院の精神保健福祉士、障害者相談支援事業所の相談支援専門員、保健所の精神保健福祉相談員の各3名、計9名を対象としてインタビュー調査を行った。分析により、各機関における特徴を明確にするとともに、共通した実践方法を抽出した。その結果、1)CPを導入しているシステム上の位置づけ、2)CPを導入を判断するケース、3)CPの実践における各期(準備期・作成期・活用期・修正期)での具体的方法を整理することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2019年度に計画していた調査のうち、1種類の調査を実施することができなかった。この調査は、文献調査とインタビュー調査の結果をもとにして質問紙調査を実施する予定であった。しかし、インタビュー調査における対象の選定及び調査日程の調整に予定以上に時間を要したこと、加えて新型コロナウィルス(COVIT-19)の影響により面接調査の実施が困難になる、質問紙調査実施のために関係団体へ協力を依頼したものの理事会等の開催が延期になるなど、2019年度当初の研究計画の実施に支障をきたした。 ただし、これまでに実施した調査結果をもとに、一定の知見を整理することができたと考えている。調査1(理論研究)により、諸外国の先行研究において効果的な取り組みと課題とされている側面を明らかにできた。そして調査2(質的研究)により、これまでの国内のクライシス・プラン(CP)の先行研究では、その具体的な実践方法に関する調査研究を実施したものは存在していない。こうしたなかで、クライシス・プランの実践経験を有するエキスパートの語りから得られた知見は有益な成果であると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の調査計画として、2019年度の調査によって得られた知見のエビデンスを高めるために、精神科病院の精神保健福祉士、障害者相談支援事業所の相談支援専門員、保健所の精神保健福祉相談員を対象として、クライシス・プラン(CP)の作成方法と活用方法に関する質問紙による調査研究を実施する。これに加えて、より多くの精神保健医療福祉に関係する多職種を対象とした質問紙調査についても実施し、精神障害者の地域生活支援におけるCPの効果的かつ妥当性の高い実践方法を明らかにしていく。 そして、国外におけるフィールドワークとして、イギリスのJoint Crisis Plan(JCP)の臨床試験の詳細や実践方法などについて現地調査することを考えている。 なお、これらの国内外における今後の調査計画は、新型コロナウィルス(COVIT-19)の影響を受けることが予想される。そこで、国内の専門職を対象とした質問紙調査においてはインターネットリサーチ等の方法を用いるなど、支障が生じないような調査方法の工夫を考える。一方、国外の現地調査については研究遂行上、不可欠なものであることから、渡航可能になる時期を見計らって調整していきたい。
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Causes of Carryover |
インタビュー調査において、謝礼を必要としない対象者が含まれており、謝金等の支出が予定よりも少なかった。逐語録の作成において外部業者へ委託することを計画していたものの、研究者自身が中心となって逐語録作成を行ったため、委託予定の謝礼が少なく執行されることとなった。 また、2019年度実施予定であった1種類の調査が未実施であり、この遂行にあたるための物品費や人件費などが未使用である。 2019年度に実施できなった調査については、その未使用額を用いて2020年度に実施する。また、調査及び分析に必要となる物品等の準備のために使用予定である。
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Research Products
(2 results)