2019 Fiscal Year Research-status Report
精神疾患を有する学生の支援とセルフ・アドボカシーに関する研究
Project/Area Number |
19K02277
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Research Institution | Mejiro University |
Principal Investigator |
鹿内 佐和子 目白大学, 人間学部, 専任講師 (00738833)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷口 恵子 東京福祉大学, 心理学部, 講師 (50383138)
姜 壽男 東京福祉大学, 社会福祉学部, 講師 (60590164)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 精神疾患 / 大学生 / 修学支援 / 合理的配慮 / ニーズ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、精神的な不調を感じた学生が、精神科治療を経て回復していくには、どのようなプロセスと支援が必要なのか明らかにし、支援に活かせるツールを開発することを研究目的としている。2019年度は第一段階として、精神的課題のある学生の大学における支援状況を把握する質問紙調査を行うことを予定していた。 2019年8月に障害学生修学支援ネットワークの拠点校であり、支援実績の多い大学三校の障害学生支援の部署を訪問し、精神的課題のある学生支援の現状を伺う予備的調査を行った。インタビューから、障害学生の修学支援は、一人ひとりのニーズを聴き取り、ニーズが叶えられるように、また、教員職員に大きい負担がかからないように調整がなされていた。そして、学内の理解促進と対応力向上のために、新任研修会やFD研修会などでの障害学生支援についての説明を行う、ガイドブックを配布するなどの働きかけを行っていた。今後の課題としては、必要数の専任スタッフの確保と大学として「障害のある学生が学ぶ環境を作る」という姿勢が教職員に浸透していること、支援につながらない学生への対応などが明らかになった。これらは目白大学総合科学研究第16号に「精神的課題のある学生支援の現状と課題―障害学生修学支援ネットワーク拠点校へのインタビュー調査から―」にまとめた。 拠点校の調査結果を踏まえ、全国752大学の学生相談もしくは障害学生担当部署に対して、精神的課題のある学生支援業務を行う部署・機関、担当者、授業での合理的配慮、精神的課題のある学生支援の課題等を選択式及び自由記述方式を併用し質問紙を作成し、2020年3月に郵送にて調査を実施した。4月現在、調査票回収中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度に予定していた調査は行うことができた。しかし、全国752大学の学生相談もしくは障害学生担当部署に対する「精神的課題のある学生支援に関する質問紙調査」は、3月末に送付を行い調査票回収中であるが、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う大学職員のテレワークなどの影響もあり、回収状況は芳しくない。そのため、締切りの延長のお知らせはがきを4月下旬に対象の大学に送付している。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度中に質問紙調査結果から精神的課題のある学生の支援実態をまとめ、大学紀要などに原稿を投稿する。 また、質問紙調査送付先大学の中で、東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県に所在する大学206校にインタビューの依頼文と承諾書を同封したが、その中で承諾書が返送された学生支援担当者15名程度にインタビューを行う予定である。インタビューは、協力の許可を得られた学生支援担当者に対して、精神的課題のある学生に行った支援内容、難しいと感じたこと、必要と考える支援や体制などについて、研究者の質問に沿って応えていただく。インタビューの逐語録を作成し、分析し、精神的課題のある学生が必要とする教育環境や支援体制についての要素を見出していきたい。
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Causes of Carryover |
予定していた拠点校インタビューについては、研究者3名で3校別日に行う予定だったが、2校は同日に行ったため、旅費が抑えられたことから次年度使用額が生じた。 今年度は、アンケート調査の集計作業やインタビュー調査の旅費など多く見込んでおり、前年度分も研究費を使用する予定である。
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