2020 Fiscal Year Research-status Report
How overt and latent needs of people with dementia and their caregivers are recognized by staffs of dementia cafe?
Project/Area Number |
19K02283
|
Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
山田 裕子 同志社大学, 研究開発推進機構, 名誉教授(嘱託研究員) (80278457)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武地 一 藤田医科大学, 医学部, 教授 (10314197)
杉原 百合子 同志社女子大学, 看護学部, 准教授 (90555179)
鄭 煕聖 同志社大学, 社会学研究科, 助手 (80844092)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 認知症の診断後のケア / 認知症の人の顕在的潜在的ニーズ / 認知症の人の家族の顕在的潜在的ニーズ / カフェスタッフのニーズ認識 / カフェのサービス / カフェスタッフのニーズ認識とサービスの関係 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の当初の目的は、全国の認知症カフェを対象に、認知症カフェが提供する支援・サービス内容と、カフェスタッフの、初期及び若年性認知症の人とその家族の、顕在的及び潜在的支援ニーズへの認識をアンケート調査により調査し、支援・サービス内容と、ニーズ認識との乖離の有無を調べ、もしあるならその乖離を解消する方法を提示し、カフェの支援機能を高める方策を見出すことであった。 認知症カフェは2012年に初めて第1号が京都で開始され2020年まで約8年間に数千を超えるまでに全国に広まった。全国調査の結果ではその形態、開催頻度、プログラム、運営費用、など多種多様であり、運営上の課題も明らかになった。特に認知症の人とその家族のニーズについて、認知症の人・家族とカフェスタッフの認識の間に乖離が生じているのではないか、との仮説が生まれ、その乖離を解消し、認知症の人とその家族にとって、よりよいカフェの方向性を見出す必要性があった。 そのような目的に基づき、2019年度(1年目)は、先行カフェ2か所の主催者に、認知症の人と家族のニーズをどのように捉え、それに対して認知症カフェがどのように応えるかについてインタビューした。そのインタビューをもう3件予定していたところ、新型コロナ自粛となり調査は中断した。 続く2020年度は、感染力のこれほど強い変異株が出現する今日のような状況を予測できなかったので、新型コロナ感染が早晩収束することを見込み、概ね最初の計画を続行する計画を提出した。だが、再び新型コロナの影響により、府県をまたぐ調査および、カフェの利用者(認知症の本人およびその家族)を聞き取りの対象とする研究の実施に困難が生じた。やむを得ず、研究代表者が関わる京都市内に活動拠点を置くカフェの利用者とその家族への定期的なニーズ把握と文献研究を今年度の研究に置き換えた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
前項で記載した通り、2020年度も新型コロナの影響で調査活動に影響が出た。特にこの研究の対象者が高齢者およびその家族と、彼らを対象とするカフェを主催するスタッフであり、コロナ禍にあって、もっとも3密を避けることを強く推奨され、隔離ないしは交流活動の停止を要請されたグループであり、事実上、ほとんどのカフェが運営困難となり、カフェが開催されていないため、カフェの利用者である認知症の人とその家族および、カフェの主催者とスタッフに聞き取りを行い、アンケートを行う、というこの研究計画の遂行が不可能となった。 そこで、研究目的を少しでも達成するために代替的な研究方法を探った。研究代表者が関わる京都市内に活動拠点を置く一つのカフェは細々ながら様々な方法で、以前からの利用者とその家族を対象として、活動の継続を試みていた。それらの活動に参加し、認知症の人とその家族の聞き取りを定期的に行い、認知症の人とその家族の顕在的・潜在的なニーズを把握することとした。以前のような、認知症の人と家族が寄り集まり、互いに直接話したり交流できるカフェは今では①リアルカフェと呼ばれ、代替的なカフェは、②電話カフェ、③ピンポンカフェ、④文通カフェ、と3種類である。研究代表者が担当するのは②の電話カフェであり、接触をせずに電話媒体を通じて、本人と家族とに話を聞くという、限定的かつ代替的な交流を図り、彼らのニーズを聞き取るものである。その記録を、他の3名のカフェスタッフと共有し、認知症の人と家族の顕在的・潜在的なニーズを知り、コロナ禍にあってもカフェがどのようなサービスを提供し得るかをカフェスタッフの反応と考えた。その代替的研究方法を開始したのは2020年の6月であり、対象者の少なさがあり、しかも、カフェスタッフの意見交流の時間が取れず、当初の目的より研究は相当遅れている。
|
Strategy for Future Research Activity |
2021年は、まず第1に、この電話カフェを継続し、それをもって認知症の人と家族の顕在的・潜在的なニーズを探り続ける事、そしてカフェスタッフが認知症の人と家族の顕在的・潜在的なニーズをどのように把握するかを捉え、定期的に分析してゆく事としたい。 第2に、新型コロナの猛威は、現時点では、衰えを見せず、さらに継続するようであるが、遅ればせながらワクチン摂取が可能となり、新型コロナの脅威を恐れずにすむようになり次第、近辺および他府県のカフェを訪問対象とすること、あるいは参加者にオンラインでのインタビューを実施することも考えている。 最初の計画通り、アンケート調査を大がかりに実施することは、可能かもしれないが、コロナ禍にあって、カフェの存在自体が、参加者およびスタッフともに危ぶまれている現状では、顕在的・潜在的なニーズの概念も、当初のものとは、相当異なると考えられ、研究設計自体の大がかりな変更を迫られる。よって、2021年は2020年に採用した代替的な研究方法を続行し、数は少ないが、継続して電話により接触を試みられる認知症の人と家族のニーズを図り続けることが、現時点では最善の方策ではないかと考える。 そのようにして、認知症の人と家族の顕在的・潜在的なニーズをカフェのスタッフがどのように捉え、それにより、カフェのサービスの構築を認知症の人と家族の顕在的・潜在的なニーズに適ったものであるかを、分析により明らかにしてゆきたい。
|
Causes of Carryover |
当初の計画では、2020年度には、日本全国の先進的カフェをいくつか訪問して、その参加者とスタッフにインタビューを行うこと、そこで得た結果に基づき、全国のカフェのスタッフにアンケート調査を行う計画を立てていた。 しかし新型コロナが蔓延した。この研究の対象者の認知症高齢者は、新型コロナに感染すると重症化し、容易に死に至ることが知られており、高齢者は三密を避けるように要請され、カフェのような形態の高齢者サービスは最も厳格にほとんど禁止された。そのため、この研究の目的であるカフェは開催が難しく、今日、通常通りにカフェを開催しているところはほとんどない。 したがって、2020年度には、当初の計画通りの研究を行うことが出来ず、やむを得ず、代替的な研究方法を採用したものの、それは移動を必要とせず、もっぱら電話でのインタビューだったので、各地のカフェを訪問する交通費、活動費、アルバイト雇用のの費用などを消費できなかった。
|
Research Products
(9 results)