2021 Fiscal Year Research-status Report
介護職員による高齢者虐待防止研究;不適切ケア防止教育のプロセスとプログラムの開発
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19K02287
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Research Institution | Chubu Gakuin College |
Principal Investigator |
横山 さつき 中部学院大学短期大学部, 社会福祉学科, 教授 (90413236)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大橋 明 鈴鹿医療科学大学, 保健衛生学部, 教授 (30367578)
福地 潮人 中部学院大学, 人間福祉学部, 准教授 (00412833) [Withdrawn]
海老 諭香 中部学院大学短期大学部, 社会福祉学科, 准教授 (40750196)
土谷 彩喜恵 中部学院大学短期大学部, 社会福祉学科, 講師 (00792326)
堅田 明義 中部学院大学, その他部局等, 特命教授 (60015435)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 高齢者虐待防止 / 尊厳ある介護 / 介護職員の共感的反応・行動 / プライバシー保護 / ケア・ハラスメント |
Outline of Annual Research Achievements |
岐阜県下の特別養護老人ホームと介護老人保健施設(総数270施設)のうちの76施設(総数の28.1%)の介護職員全数(3,142名)を対象として、無記名自記式質問紙調査を実施し、高齢者介護に従事する介護職の倫理的行動に影響すると推定される共感的反応・行動の因子構造を明らかにした。その所見を基に、介護職員が利用者や同僚等の感情や情動状態を理解し共有しているかを振り返るための「介護職員の共感的反応・行動チェックリスト」を作成した。 また、尊厳ある介護の具現化に向け、「プライバシー保護用移動型簡易スクリーン」を、企業と共同して考案・製作し、介護サービスを提供する岐阜県内の入所施設3か所の介護職員41名に、3か月間に亘って試作機を試用してもらい、半構造化インタビューと無記名自記式質問紙調査によって、その運用評価をした。その結果、試作機運用による介護職員のプライバシー保護意識・認識の変化には、施設種別や個人要因よりも、施設風土などの組織的要因が影響していることが推察された。 さらに、ケア・ハラスメントが虐待を含む不適切ケアの発生に与える影響を明らかにすることを目的として、東海3県下(愛知県・岐阜県・三重県)の特別養護老人ホームと介護老人保健施設(1,126施設)のうち、施設長から同意の得られた90施設3,568名に対して、2022年3月31日を回答期限とした無記名自記式質問紙調査を実施した(現在、データ入力作業中)。 なお、これまでに考案、改良した不適切ケア防止教育プログラムの一部を、「令和3年度西濃圏域介護保険指定事業者集団指導」(岐阜県西濃圏事務所)においてオンライン配信した(岐阜県西濃圏事務所、揖斐県事務所所管の介護保険事業所に、You Tubeでの1か月間限定の配信をした)。 加えて、東海3県下の特別養護老人ホームと介護老人保健施設に、作成した研修用資料を書面で郵送配布した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和3年度も新型コロナ感染の影響で、平時のように対面での研究会や授業(考案したプログラムによる教育)を実施することが難しかった。そのため、オンラインでの研修会を実施した。しかし、インタビューについては、対象者である介護職員側のオンライン環境が整わないこと等から、断念した。 このような状況において、令和4年度に計画していた「不適切ケア防止教育指導者の養成と支援システムモデルの検討」(全国3,000施設の特別養護老人ホームと介護老人保健施設を層化無作為抽出し、その施設長や事務長などの管理職員を対象として、「不適切ケアに対する知識・認識や管理する施設における不適切ケアの実態の把握状況および取組み状況」に関する質問紙調査を実施し、その結果を基に、「リーダーシップおよびメンバーシップの形成や施設内でのチームワークの向上、不適切ケア防止教育・活動の実施・継続に関連する促進要因と阻害要因および教育に活用し得るツール」について、10施設の介護職員を対象としての5~6人のフォーカスグループインタビューによって検討する)を、本年度(令和3年度)に繰上げ、準備を開始した。
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Strategy for Future Research Activity |
コロナ禍において、当初計画通りに研究を遂行できていないが、随時計画を変更しながらおおむね順調に研究を進展させることができている。そのため、令和3年度に一部変更した計画に沿って令和4年度の研究を進める。 これまでの研究で、介護職員が受けるケア・ハラスメントが介護職員による虐待を含む不適切ケアの発生に影響を与えていることが推察された。しかし、その実態の明確化には至っていない。そのため、「介護職員が要介護者とその家族から受けるハラスメントおよび職員間におけるハラスメント(ケア・ハラスメント)が介護職員による虐待を含む不適切ケアの発生に与える影響」を明らかにし、介護職員による虐待を含む不適切ケアの防止策を検討する基礎資料とすることを目的とした調査を実施した。その調査で収集したデータの入力作業を令和4年4月から実施しており、令和4年度中にその成果を学会発表し、論文投稿する計画である。
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Causes of Carryover |
質問紙調査への協力は任意であるため、これまでの類似研究においての質問紙調査回収割合から、協力介護施設数および協力介護職員数を概算し、料金後納受取人払いの費用を算出した。その郵送費見込み額と実際の郵送費との差額、および、アルバイト職員による質問紙調査票発送・回収作業等のアルバイト代金の見込み額と実際のアルバイト代金との差額が生じた。 令和4年度は、令和3年度に予定していた「不適切ケア防止教育指導者の養成と支援システムモデルの検討」に向けて、これまでよりも大規模な(全国規模)の質問紙調査を実施する予定である。その調査においての郵送費やアルバイト代金が枯渇する可能性があるため、未使用額(次年度使用額)でそれらを補填する計画である。
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Research Products
(3 results)