2019 Fiscal Year Research-status Report
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19K02293
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
坂口 明男 信州大学, 学術研究院繊維学系, 准教授 (40205729)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 防護服 / 絡み織 / 高性能繊維 / 通気性 / 耐突き刺し性 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成31年度においては、絡み織物を高強度繊維で作製したサンプルについてその構造の分析のほかに、通気性能と耐突き刺し性能の評価について検討した。なお、サンプルについては先行研究で試作したものに加えて新たに協力していただいた企業から提供されたものも併せて試験した。 通気性能についてはいずれのサンプルについても問題なく試験ができた。また、当初の予想通り、高強度繊維を用いた場合でも、絡み織物は通常の織物よりも通気性に富み、防護服素材として好ましいことが明らかとなった。これは絡み織物はポアサイズと呼ばれる、布表面の糸と糸の間隙の開口部の大きさが大きいことによるものであることも構造の分析により確かめた。なお、開口部の総面積よりも一つ一つの開口部の大きさにより影響されることも知られた。この結果は一般的な流体とフィルターの関係と同様である。 耐突き刺し性能については、これも先行して行ってきた研究方法を適用して試験を試みた。しかしながら、耐突き刺し性能は予想よりも高く、これまでの方法では十分に評価できないと思われるケースが多々見られた。具体的には突き刺しで凶器が貫通するよりも前に、試験片の把持部分がずれてしまうといったことである。また、絡み織は織目が寄りにくいことを期待して防護服材料としての応用を検討しているが、経糸と緯糸の交錯点においては、交錯点は経糸方向にずれることはないものの、緯糸方向には動く、いいかえれば、突き刺し時に、貫通を受け止める際に荷重が限度を超すと凶器が貫通する前に緯糸がすり抜けるようにして布が破壊されるといった状況が確認された。 上記の糸のすり抜けの主な理由は今回供試した試験片の大きさが直径80mmと比較的小さいことが一つの原因であり、直ちにこの織物の防護性能を否定するものではない。しかしながら試験方法には改善の余地が大いにあることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
企業の協力を得て、いくつか絡み織物の異なる種類のサンプルについて検討できた点は当初の計画以上に進展している点である。 一方で、先行研究を通じてこれまで行ってきた耐突き刺し試験方法に見直しが必要になったことによって、やや計画よりも遅れた点は否めない。 以上ののように研究の枠組みの中では進展が良い部分とそうでない部分があるが、総合的にはおおむね順調に進展していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
耐突き刺し試験の改善が課題であるが、いくつかアイディアはあり、部分的にはトライアルをして一定の効果が見られている。例を挙げると円形サンプルの外縁をゴムでコーティングして滑らなくする方法がある程度効果があることがわかっている。そのほかにも試料固定台の改良なども考えている。 また、別のアプローチとしてより突き刺し速度が高速な試験機があることがわかっているのでそれを借用しての実験を計画している。
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Research Products
(1 results)