2019 Fiscal Year Research-status Report
人口減少社会における多様な住まい方に対応した住教育プログラムに関する研究
Project/Area Number |
19K02294
|
Research Institution | Kyoto University of Education |
Principal Investigator |
延原 理恵 京都教育大学, 教育学部, 准教授 (40310718)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 住教育 / 人口減少社会 / 住まい方 / 地域居住 / 住まい・まちづくり / 地域学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
人口減少社会に突入した現代社会において出現している多様な住まい方に対応した住教育のあり方を検討するために、2019年度は主として、人口減少に伴う社会変化に対応した住まい方についての調査研究に取り組んだ。 まず、人口動態に関する統計資料から、人口流出入の傾向を把握し、若者の転出入に着目した。学校の住教育で扱う内容として、進学や就職に伴う地元との関係(転出入等)は、生徒にとって身近であり、また、地元との関係に作用する要因を見出すことは住教育プログラムを考えるうえで重要であるからである。そこで、地方出身の大学生81名を対象に、地元の好嫌度とその理由、地元の地域資源(生活、歴史文化、自然、コミュニティ・人、その他)の好嫌度、Uターンの意欲とその理由等について、アンケート調査を行った。また、回答者のうち数名に後日、インタビュー調査を行い、詳細を把握した。その結果、地元愛やUターン意欲の形成には、コミュニティ・人資源の評価の影響が最も大きいことがわかった。また、Uターン意欲には生活資源の評価も影響していた。このことから、人口減少社会における住まい方を考える住教育プログラムにおいては、地元でのコミュニティや人とのかかわりは重要な要素となることが明らかとなった。 つぎに、人口統計資料や地域経済分析システム等から人口減少及び少子高齢化の著しい地域を抽出し、人口減少に伴う地域社会の課題等について、その地域の住民や自治体及びその地域と関わりのある人々への聞き取り調査を行う準備を進めた。また、京都府北部及び南部において、学校教育における地域学習を視察し、学校において地域とかかわる学習に取り組むことの効果や課題について、学校教員へヒアリングを行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
地域の人口増減に関する資料収集を行い、若者の居住・移住に着目した調査を行い、居住地の選択と地域資源との関係について見出すことができ、住教育プログラムを考える上で、重要な知見を得ることができた。また、人口減少に関する課題のある地域を訪問し、ヒアリング調査を行った。2~3月に実施する予定であった訪問調査は、新型コロナ感染拡大防止のため中止せざるを得なかったが、おおむね研究計画で初年度に予定していた教材化に向けた基礎資料を得ることができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
2年目は人口減少社会における住教育プログラムの教材開発に着手する。具体的には、新学習指導要領における住まい方に係る内容を確認し、学校教育で取り扱う内容やその範囲、教科横断的な事項を検証するとともに、初年度に得た知見をもとに、人口減少社会における住まい方の多様性と地域社会の課題との関係性について分類整理を行う。このとき、住まい方の学習から持続可能な地域社会を築く力を育成することをねらって、SDGsで掲げられている目標・達成基準との関連づけを行う。複雑な現代社会の中で、地域と住まいと個人の関係性を認識しつつ、ライフステージやライフコースから住宅選択を考えることができる人生シミュレーション・ゲーミング教材の開発を進める。
|
Causes of Carryover |
2~3月に予定していた人口減少に関する課題に関する聞き取り訪問調査が、新型コロナウィルス感染の拡大により中止せざるを得ず、状況を確認しながら計画を再考し、次年度以降に実施する。
|