2019 Fiscal Year Research-status Report
Utilization and introduction to dietary education of deep-water unexploited aquatic resources
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19K02297
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
大富 潤 鹿児島大学, 農水産獣医学域水産学系, 教授 (10253915)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大富 あき子 東京家政学院大学, 人間栄養学部, 准教授 (90352468)
土井 航 鹿児島大学, 農水産獣医学域水産学系, 准教授 (70456325)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 低・未利用水産資源 / 分布 / 食材開発 / 食教育 / 海上投棄 / 深海 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度はまず、本研究で対象とする魚介類の調査フィールドであり生産地でもある鹿児島と一大消費地である東京の消費者(老若男女)を対象とした魚食の状況に関する事前アンケート調査を行い、現段階では約800人からの回答を得ることができた。約6割が週に1~2日の頻度で魚を食べており、購入は丸のままではなく、フィレの状態が最も多かった。食べる理由としては健康に良いからで、ほとんどの人が、自分はまだ食べたことはないが、美味しいとされる魚介類に興味はあると回答していた。さらに、東京都内のレストランにおいて、ローカルな低利用魚を利用した和食御膳を販売し、喫食者にアンケートを実施した。その結果、漁獲後に海上投棄される未利用魚について、8割以上が「興味を持った」と回答した。また繰り返しの周知は認知度向上に効果があることが示唆された。 低・未利用魚種の探索のため、半閉鎖的内湾でありながら深海部分を有する鹿児島湾をフィールドとし、鹿児島大学水産学部附属練習船南星丸を用いて定期定点試験底曳網調査を実施した。魚類について、魚種ごとのCPUEを調べた。過去の予備調査を含め、計364回の曳網の結果を集計したところ、21目86科169種の魚類が確認され、そのうち未利用種が123種、低利用種が19種、有用種が28種であった。なお、CPUEが極めて低い86種は偶来種とした。定点によって種組成は異なるが、全体的に低・未利用種でCPUEが高かったのはソコダラ科のキュウシュウヒゲ、ヒウチダイ科のマルヒウチダイ、深海性アナゴ類で、今後の食材開発の候補種となることが示唆された。甲殻類についても同湾での分布を調べた。さらに、同フィールド調査で得られたクルマエビ科のミナミシロエビ(低利用種)の標本を用い、生物学的特性値、特に繁殖に関する解析を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度予定していた魚食に関するアンケート調査を実施することができた。来年度も継続し、詳細な解析は来年度に行う予定である。また、産地の卸売市場での調査によりローカルな低利用種を選定し、レストランの協力を得てメニュー開発を試みることができた。フィールドにおける試験底曳網調査は順調に行うことができ、魚類に関しては未利用、低利用でありながら高いCPUEを示す魚種を見いだすことができた。甲殻類に関しては、現時点ではまだ投稿中ではあるが、一部の種についていくつかの資源生物学的特性の解明を行い、論文執筆を行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
アンケート調査を継続して、できる限り多くの回答を得た上で集計(アルバイト雇用)、解析を行うとともに、産地(鹿児島)と消費地(東京)との魚食の現状や意識の比較も行う予定である。今年度のフィールドでの試験底曳網調査で得られた結果より、CPUEの高かった低・未利用種を中心に食材開発を行い、官能検査による評価結果をふまえてメニュー開発し商品化を目指す。試験底曳網調査を継続し、甲殻類等についても分布調査を行うとともに、各魚種の資源生物学的特性を明らかにする。 しかし、昨今の新型コロナウィルス問題により現在は船舶を用いたフィールド調査を行えない状態にある。また、供試魚の調達、調理、官能検査もストップしている。学会等の開催も難しく、成果発表や一般市民等への成果の還元の場も失われている。次年度の研究の遂行については非常に心配な状態にある。
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Causes of Carryover |
当初購入を予定していた高額な小型メモリー水温塩分計を低額な小型メモリー水温計と小型メモリー圧力計に変更した。組織切片作成経費を追加したが、トータルではプラスの差額が生じた。昨年度の未使用分は、主に遠方で開催される学会での発表のための旅費および食材開発のための試料代として使用する。
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Research Products
(1 results)