2021 Fiscal Year Research-status Report
家族並行介護支援プログラムによるオレンジコミュニティーのシステム構築に関する研究
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19K02300
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
篠田 美紀 大阪市立大学, 大学院生活科学研究科, 准教授 (10285299)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 認知症高齢者 / 介護家族 / グループ回想法 / 相互支援ネットワーク / 家族並行介護支援 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は認知症高齢者の拠点になる認知症疾患医療センターに近い場所で、認知症高齢者とその介護家族が介護支援となるネットワークを日常的かつ長期的に維持できるコミュニティーシステムの創造を目指そうとするものである。 家族並行介護支援プログラムにより、認知症高齢者にはグループ回想法を実施し、介護家族には回想法と並行して家族の会を実施する。これらの家族並行介護支援プログラムの実施後、認知症疾患医療センターの隣接施設内において、認知症高齢者本人とその介護家族が引き続き参加するサロン形式のコミュニティー広場を創設し、自主的家族グループの形成を促し、定着させることを目的としている。 2019年度は家族並行介護支援プログラムを3期実施し、のべ17家族の参加を得、フォローアップの会を2回実施し、のべ30家族の参加を得た。また、実践技術の向上のため、実践スタッフのスキルアップ研修を行った。このように、認知症高齢者本人及び介護家族のプログラムへの参加状況は良好であったが、2020年2月、新型コロナウィルスの感染拡大防止のため、2020年1月開始のグループは2月14日を最後に中止になり、自主グループの開始も中止となった。 2020年度もプロジェクトの再開はできず、2020年9月をもって2020年度の全プログラムの中止を決定した。 2021年度においても、当初計画していたプロジェクトは再開できなかった。対面形式から遠隔方式の実施を検討したが、認知症高齢者本人の遠隔方式への適応の難しさと、介護家族の機器操作の負担の大きさ、情報漏洩の可能性の大きさから、実施を中止した。研究発表においては、認知症高齢者本人への支援の視点となるGenerativity(世代継承性)に着眼し、認知症高齢者への心理的支援とコミュニティ形成における世代間交流についての知見を公表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2020年度2月より新型コロナウィルス感染拡大防止のため、研究実施施設である認知症疾患医療センターの医療従事者以外の部外者の立ち入りが禁止され、介護支援プログラムの実践を中止せざるを得なくなった。研究補助者1名を認知症疾患医療センター内に配置し、再開に向けて準備していたが、グループ回想法実践施設は認知症疾患医療センター入院病棟の一角にあり、コロナクラスター対策により外部からの研究員の立ち入りについては、慎重な対応が望まれた。2020年10月以降 2020年度中の実践及び研究補助者の配置についても中止せざるを得なくなった。2021年度においてもコロナウィルスによる制限状況については同様の状態が続いている。また、院内医療従事者の感染やクラスタ―対策、および研究従事者の濃厚接触者特定などにより2021年度のプロジェクトも実施を中止した。プロジェクト再開の目途はたっていない。現在は23019年以降、実践から得たデータについての検討を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
実施施設である認知症疾患医療センターでは、入院病棟への立ち入り禁止や面会規制、医療従事者以外の関係者の立ち入り制限が2020年2月以降続き 解除されることなく制限されている。2021年度後半2022年1月より、データ整理に関してようやく研究補助者の病棟内への立入りが許可されたばかりである。 当初、対面型の実践形式よりインターネットを介した遠隔方式も検討したが、認知症高齢者本人の状況への適応と、介護家族の機器操作の負担から、遠隔方式の実践も中止となった。このような経過により、研究期間の延長申請を行い、2022年度においては 2019年度に開始し蓄積してきた研究データについて、2022年1月より再開したデータ整理を継続して行い、得られた知見について社会還元を行う方針である。
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Causes of Carryover |
年間3グループの実施を計上していたが、2021年度は予定していた全グループの実践中止によりグループ担当スタッフの交通費および人件費の支出が減少したことによる。 コロナウィルス感染防止のため、自主グループの開催も中止となり、スタッフの人件費、および交通費として計上していた予算が未支出になったこと。また、2021年度のコロナウィルス感染拡大に伴い、認知症疾患医療センター内に研究補助員の配置をすることも困難になったこと、次年度使用については、現在研究計画の見直しを行っている。対面型の研究実践の再開の見込みが立たないので、研究計画を抜本的に見直し、これまでの研究実践から得られた研究知見の還元に向けて、現在研究データの整理と研究結果の開示方法(ホームページの作成や冊子形式の配布)を検討している。
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