2021 Fiscal Year Annual Research Report
鉄欠乏状態によるビタミンB12代謝を介した骨特異的エピジェネティクス変動の解明
Project/Area Number |
19K02302
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture |
Principal Investigator |
井上 博文 東京農業大学, 応用生物科学部, 准教授 (10639305)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 鉄欠乏 / メチル基転移酵素 / 肝臓 / 骨代謝 |
Outline of Annual Research Achievements |
本科研費申請課題において我々は、DNAマイクロアレイ解析の結果から、鉄キレート剤であるDFO処理細胞ではタンパク質メチル基転移酵素であるPRMT1, PRMT3の遺伝子発現が低下することを明らかにし、これがholo transferrinの処理によりPRMT1およびPRMT3発現が改善することを明らかにしている。加えて、動物試験においても同様の結果を得ている。 そこで本年度は再度、動物試験を行い、骨特異的なエピジェネティクス変動が起きていないかについて再検討を行った。具体的には、4週齢ICR雄性マウスを用い、通常食(AIN93G)と鉄欠乏食を3週間摂餌させた。その後、鉄リカバリー群として通常食を1週間投与する群を設け、鉄依存的な変動解析を行った。その結果、通常食(AIN93G)に比し、鉄欠乏食群において有意なヘモグロビン値および肝臓中鉄濃度が減少した。これに対し、鉄リカバリーを行うことで、これら鉄欠乏マーカーは有意に改善した。一方、骨特異的なエピジェネティクスな変化をメチル基転移酵素であるPRMTsをもとに解析した結果、全群間において昨年度と同様にPRMTsの発現変化に影響を示さなかった。一方で、鉄欠乏食群におけるPRMT1およびPRMT3の減少は鉄リカバリーにより低下抑制を示した。以上より、動物試験と培養細胞の試験から、鉄欠乏状態は肝臓におけるPRMT1とPRMT3発現を抑制を介してメチオニン代謝させることは明らかとなったが骨特異的な変化を認めることはできなかった。
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