2020 Fiscal Year Research-status Report
Development of design methods for delicious food texture
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19K02303
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
中村 卓 明治大学, 農学部, 専任教授 (30328968)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 感性食感 / 口どけ / 食感デザイン / ホワイトクリーム / ドリンクゼリー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、おいしい食感をデザインするための基盤手法となる2次元食感マップの開発を目的としている。具体的手順は、食感をかたさやねばりで表現される知覚食感とおいしさを表現する「口どけが良い」の様な感性的な認知食感にわける。時間軸と口腔部位を意識した官能評価でこれらを相関づける。さらに、人工唾液中で客観的な機器分析を行い、食品の破壊過程における力学特性(レオロジー)・潤滑(トライボロジー)・構造(モルフォロジー)の物性変化を解析する。おいしい食感を、咀嚼中の知覚食感の変化に対応した機器分析結果の変化として2次元マップ化する。 2次元食感マップを用いて「口どけが良い」で表現されるおいしさを、ヒトそれぞれの一言で終わらせるのではなく、マップ上のどの物性をどのタイミングで重要視するのかが異なるためと説明でき、さらなる食品開発につながる。 この様に、本研究の特徴は時間軸と口腔部位を意識した分析型官能評価と、人工唾液中の機器分析を相関させる点にある。さらに、2次元マップ化することで直感的に理解しやすくなり、食品開発の現場で利用しやすくなる。 本研究では、結晶性食品(アイスクリーム・チョコレート)、含気泡・低水分食品(パン・ケーキ)、ゲル状食品(プリン・ヨーグルト・クリームチーズ・ゼリー)、ゾル状食品(ソース・ドリンクゼリー)等について検討する。本年度は、ホワイトクリームとドリンクゼリーについて検討した。特に、ホワイトクリームではメチルセルロース添加による口どけ向上と破壊構造の関係を明らかにした。本研究は、おいしい食感の実現のための基盤となり、食生活を豊にすることに貢献すると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
COVID-19対応の緊急事態宣言等で大学が入構制限下にあったため、長期間実験が実施できなかった。また、発表を準備していた学会の大会が中止となった。 本研究の分析手法は、時間軸と口腔部位を意識した分析型官能評価(特に、TI法)と、レオロジー(特に、人工唾液中の力学特性分析:口どけ食感解析)、トライボロジー、モルフォロジー(特に、走査型電子顕微鏡・画像解析ソフト)を用いて行う。食品の種類が異なると、その構造破壊の過程の違いによって「口どけがよい」の重要な要素が異なり、さらにヒトによってどの要素を重要視するかも違うことを、具体的に機器分析レベルで明らかにする。さらに、共通点は何かも明らかにする。おいしい食感を、咀嚼中の知覚食感の変化に対応した機器分析結果の変化として2次元マップ化することの有効性を示し、おいしい食感のデザイン法として確立することを目指している。 本年度は、これらの手法を用いて各種加工食品について口どけ食感と知覚食感・力学特性・破壊構造の関係を2次元マップで明らかにした。その成果を含む形で、2020年8月27日-29日の日本食品科学工学会第67回大会において以下の発表を準備していた。①ホワイトクリームにおける乳フレーバーリリースと食感への破壊構造・物性の影響-メチルセルロース添加の影響-②クラッシュタイプゼリーの「ぷるぷる食感」の見える化-スパウトの形状の影響-。しかし、発表を準備していた学会が中止となったため、やや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
大学への入構制限が緩和されたため、研究室でもアクリル板の設置等の感染対策をとったうえで実験を進めている。 加工食品として、結晶性食品(アイスクリーム・チョコレート)、含気泡・低水分食品(焼成菓子類)、ゲル状食品(プリン・ヨーグルト・チーズ・フラワーペースト)、ゾル状食品(ソース・ドリンクヨーグルト)等について引き続き検討する。特に、今年度検討が遅れた、結晶性食品(アイスクリーム・チョコレート)に注力する。さらに、ゾル状食品(ドリンクゼリー・ドリンクヨーグルト)も検討する。
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Causes of Carryover |
COVID-19対応の緊急事態宣言等で大学が入構制限下にあったため、長期間実験が実施できなかった。また、発表を準備していた学会の大会が中止となった。 次年度計画のゾル状食品(ドリンクゼリー・ドリンクヨーグルト)の検討に加えて、今度検討が遅れた結晶性食品(アイスクリーム・チョコレート)にも注力する。
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Research Products
(3 results)