2019 Fiscal Year Research-status Report
テクスチャー用語を手がかりとする「かたさ・やわらかさ」の要素分類と食嗜好の解析
Project/Area Number |
19K02310
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
早川 文代 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 食品研究部門, ユニット長 (00282905)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | テクスチャー / 食品 / 官能評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
「かたい⇔やわらかい」は、多くの食品において、テクスチャー評価の主要な観点である。しかし、「かたさ」「やわらかさ」には数多くの類義語があり、多義的で、複合的であることが示唆されている。「かたさ・やわらかさ」に関する食品評価および日本人のテクスチャー嗜好の解析のための参照データを得るため、本課題では「かたさ・やわらかさ」の要素を整理することを試みる。 今年度は、「かたさ・やわらかさ」関連用語の収集を行った。ISO110356Texture profileにおけるテクスチャー用語の3特性(力学的特性・幾何学的特性・その他の特性)のうち、「かたさ・やわらかさ」は力学的特性に該当すると考えられる。そこで、すでに有しているテクスチャー用語445語のデータベースから、力学的特性に該当するとみなされた322語を抽出し、第一次リストを作成した。これらの322語について官能評価パネルへのインタビューを実施し、「かたさ・やわらかさ」に関連しない除外用語の候補を抽出した。さらに、322語について、すでに有していた食物名との対応のデータ(早川ら2012、2018)および用語の類似性データ(Hayakawa et al., 2012)を再解析し、「かたい」「硬い」「堅い」「固い」「やわらかい」「軟らかい」「柔らかい」との親近性を求めた。 以上の結果から、138語(「糸を引く」「重い」「軽い」等)は、「かたさ・やわらかさ」とは関連が弱いことが示唆されたため、候補用語から除外することとした。さらに、料理書、食に関するエッセイや小説など、一般書214作品の食感表現を抽出し、用語追加の必要がないことを確認した。これによって、184語を「かたさ・やわらかさ」関連用語の候補とし、これを第二次リストとした。現在、妥当性確認のアンケートを計画中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2月および3月に栄養士へのインタビューおよび官能評価パネルの討議によって、用語リストの検証を実施する予定であったが、新型コロナウイルスによる感染の拡大防止の観点から訪問がかなわず延期した。現在、web上での意見集約方法についても検討し、調査を設計中である。
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Strategy for Future Research Activity |
用語リストの検証については、インタビューや討議など、対面で実施する予定であったが、これらのうち、リモートでの実施可能なものから計画を変更して実施し、「かたさ・やわらかさ」関連用語のリストを完成させる。要素分類についても、リモートで実施可能な手法の導入を検討する。
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Causes of Carryover |
次年度使用額は、研究費を効率的に使用して発生した残額および実施を延期したインタビューのための旅費残額であり、特に研究計画の変更は必要ないと考える。次年度、消耗品費と出張旅費して使用する。
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