2021 Fiscal Year Research-status Report
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19K02314
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
南 道子 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (70272432)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
櫛山 暁史 明治薬科大学, 薬学部, 教授 (30435820)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 食物繊維 / 健康寿命 / アンケート調査 / 動物実験 / 血液生化学分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年注目されているとおり、食物繊維は、第6の栄養素とも言われている。多様な働きがあるが、腸内の微生物の菌叢を変化させる事で生体の環境を整えること、腸からの脂質や糖質の吸収を抑えることなどの影響を受け、生活習慣病の改善をも行っている事は数十年前から知られている。 現代日本は様々な食品が溢れ、自分の嗜好のままに食事を摂ることが増え、そのことに起因して生じる食生活の乱れが問題となっている。中でも現代日本の食事内容は、特に若年層を中心として、脂質の摂取が多く、野菜の摂取が少なくなっているという報告がある。その若年層の食事内容と動物実験を関連付けて行なっている研究計画はまだまだ少ない。本研究では、野菜に含まれる食物繊維の摂取量の違いが、臓器の遺伝子発現にもたらす影響を比較検討することで、生活習慣病の発生機序の解明について役立てることができるのではないかと考えて研究計画を推進してきた。 本年度は、第一に2020年度に引き続き食物繊維に関しての文献検討を行った。若年層の食生活に大きく影響をおよぼす要因として考えられる学校教育における家庭科の教科書分析を行った。食物繊維には早い段階から言及されていたが、内容および分量的にも年と共に増加し、献立分析の対象としている世代に対しては早い段階から教科書などで食物繊維に関する内容に触れる機会は増えていることがわかった。 第二に、動物実験施設が2021年度秋に使用できるようになったので、動物実験計画を10月より開始した。マウス飼料は国民健康・栄養調査の結果で、若年層の内容に調整した。マウスはコントロール食他食物繊維やビタミンを調整した3群に分類し、食事内容の変化が体重や各臓器での遺伝子発現の影響を調べた。マウスの採取した臓器でmRNA 精製およびcDNA合成を行いqPCRを行っていく計画を進行中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
調査研究および文献検討にかんしては、昨年度からの継続で進行してきた。献立分析においては全く摂取しない欠乏状態にある者の数は少ないものの、現代日本人の食生活の問題点と同様に野菜不足が多くみられ、国民健康栄養調査の実態よりも深刻であった。野菜不足が継続すると起こりうるのが、ミネラルとビタミン不足であるのは自明である。それらが全く供与されない場合には欠乏症により顕在的な障害として体の症状が表れるが、現代日本で問題視されるのは少しでも不足することで起こりうる、倦怠感など不定愁訴の症状を呈することである。そのような症状が長期間続くことを、最近では未病とも表現している。 2019年に富山大と東京大学のグループが、生活習慣病自然発症マウスを用いた未病に関する研究において、147遺伝子の発現が変動していたことを報告している。本研究においても対象群が未病状態に陥るのではないかと仮定し、これらの遺伝子が、それぞれどのような働きを持っているのかを、データベース解析(KEGG PATHWAYおよびGENES NCBI)および文献検討(PubmedおよびJ-stage)を行った。その結果、いくつかの特徴に分類することができ、今後の研究の方向に示唆を与えるものとなった。
動物実験計画については、2021年度はコロナ禍の2年目にあたり、動物実験施設の使用については制限付きで秋ごろ(10月)再開された。再開後、1週間の予備飼育と5週間の本飼育をおこなった。採取した臓器の種類が多いため、対象とする臓器を絞って少しずつ解析を進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度行えたマウスの動物実験では、脂肪を多く摂取させた群の臓器重量について各群の平均値を出し、群別にT検定をしたところ特にコントロール群であるAIN93Gの餌を摂取させた群と AIN-93Gの餌をベースにして脂肪を増やした群とで有意差がみられた。また、その脂肪を多く摂取させた群と食物繊維とビタミンを減らした群, 食物繊維とビタミンを減らした群と 食物繊維と脂肪とビタミンを減らした群で有意差が見られた。 遺伝子発現を検討した白色脂肪細胞は、中性脂肪の一種であり血中に過剰に存在する脂質や糖を取り込み蓄積する細胞で、この細胞が肥大化・増大すると肥満症を引き起こすものだが、コントロールと脂肪を増やした 群でのみ臓器重量に有意差が得られた。コントロール群と脂肪を増やしビタミンを減らした群では有意差が認められなかった。またビタミン欠乏か否かによる比較では有意差が出なかったことも含めて考えると、WATの発現・肥大化には一番に高脂質が関連するということが考えられた。しかし、食物繊維とビタミンを減少させた群と 脂肪を増やし、食物繊維とビタミンを減少させた群での相関関係が出なかったことも考慮し、ビタミンの欠乏も有意差は出ないまでも、脂肪細胞の肥大化には少なからず関連しており、高脂肪を含め不規則な食習慣を続けることが肥満の原因になるという可能性を考えることが出来た。今後は、飼育期間も含め、マウスの週令やマウスの種類についても検討し、本実験を行う予定である。
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Causes of Carryover |
2021年度までに行ってきた調査研究および文献検討にかんしては、現代日本における若年層の食の問題の様相を示す内容として検討を行い、結果のとりまとめができるだけ、進行しているが、新型コロナウィルス流行による緊急事態宣言発令などの影響を受け、学会発表の場が限られたり、大学業務がオンラインと対面のハイブリッドとなるなどすることにより生じた新しい業務への転換が負担となって、若干の遅れを来たしている。
動物実験に関連する計画部分については、新型コロナウィルスの流行の影響を大幅に受け、昨年度にも報告済みだが、実施開始年度を1年以上遅らせざるを得なかった。そのために、動物実験計画に関連する予算は2020年度から繰り越さざるを得なかった。一方、待機の期間には、アンケート調査や該当の領域の論文の詳細な分析を行うことができたが、動物実験の計画進行に遅延が生じてしまった。2021年度後半には動物飼育実験を1回行うことができたが、新型コロナウィルスの流行による緊急事態宣言の発令などの影響で飼育期間をある程度絞った形で行う必要があったため、実験計画全体の遅延が生じてしまっている。動物実験計画において、十分な成果を得るためには、2022年度までの計画の延長がやむを得なかった。
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Research Products
(19 results)
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[Journal Article] Effect of febuxostat on left ventricular diastolic function in patients with asymptomatic hyperuricemia: a sub analysis of the PRIZE Study2022
Author(s)
Kusunose K, Yoshida H, Tanaka A, Teragawa H, Akasaki Y, Fukumoto Y, Eguchi K, Kamiya H, Kario K, Yamada H, Sata M, Node K
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Journal Title
Hypertens Res.
Volume: 45
Pages: 106
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] Involvement of neuronal and muscular Trk-fused gene (TFG) defects in the development of neurodegenerative diseases.2022
Author(s)
Yamamotoya T, Hasei S, Akasaka Y, Ohata Y, Nakatsu Y, Kanna M, Fujishiro M, Sakoda H, Ono H, Kushiyama A, Misawa H, Asano T.
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Journal Title
Sci Rep
Volume: 12
Pages: 1966
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] Synergistic association of the copper/zinc ratio under inflammatory conditions with diabetic kidney disease in patients with type 2 diabetes: The Asahi Diabetes Complications Study2022
Author(s)
Takao T, Yanagisawa H, Suka M, Yoshida Y, Onishi Y, Tahara T, Kikuchi T, Kushiyama A, Anai M, Takahashi K, Wakabayashi Sugawa S, Yamazaki H, Kawazu S, Iwamoto Y, Noda M, Kasuga M
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Journal Title
J Diabetes Investig.
Volume: 13
Pages: 299-307
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] Pathological Role of Pin1 in the Development of DSS-Induced Colitis.2021
Author(s)
Matsunaga Y, Hasei S, Yamamotoya T, Honda H, Kushiyama A, Sakoda H, Fujishiro M, Ono H, Ito H, Okabe T, Asano T, Nakatsu Y.
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Journal Title
Cell
Volume: 2021
Pages: 1230-
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] Impact of Plasma Xanthine Oxidoreductase Activity on the Mechanisms of Distal Symmetric Polyneuropathy Development in Patients with Type 2 Diabetes.2021
Author(s)
Fujishiro M, Ishihara H, Ogawa K, Murase T, Nakamura T, Watanabe K, Sakoda H, Ono H, Yamamotoya T, Nakatsu Y, Asano T, Kushiyama A.
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Journal Title
Biomedicines.
Volume: 19
Pages: 1052
DOI
Peer Reviewed
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