2020 Fiscal Year Research-status Report
ライフステージ毎に必要なリスクマネジメントとESDを学ぶ住教育体制の構築
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19K02316
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
飯野 由香利 新潟大学, 人文社会科学系, 教授 (40212477)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小川 裕子 静岡大学, 教育学部, 教授 (20136154) [Withdrawn]
倉渕 隆 東京理科大学, 工学部建築学科, 教授 (70178094)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 知識構成型ジグソー法 / 家電事故 / ヒヤリハット / 空き家問題 / 中古住宅の活用 / 環境に配慮した住まい方 |
Outline of Annual Research Achievements |
学校教育期のリスクマネジメント研究として、2019年に長岡市立M中学校の1年生5クラス167人を対象に各クラス4時間の知識構成型ジグソー法を取り入れた授業を実践した結果を2020年度に研究代表者が分析し、2019年に静岡県S中学校2年生4クラス159名を対象に各クラス3時間ずつのパフォーマンス課題や知識構成型ジグソー法を取り入れた授業を家庭科教員が実践した結果を研究分担者の小川先生が2020年度に分析して、日常生活と災害時の安全対策を含む内容についてまとめ、日本家庭科教育学会の論文として2報が2021年5月に掲載された。 さらに、中学生を対象とした配線関連や家電製品の事故要因(製品起因や誤使用及び使用期限など)に関する授業を実践し、安全な住生活をする方法(リスクマネジメント)の周知啓発を行った。 一方、幼児期のリスクマネジメントの研究では、新潟大学附属長岡幼稚園において、2020年7月上旬の各登園日に起きたヒヤリハットの実態を把握するために各クラスの担任・副担任及び幼稚園教諭へのアンケート調査や訪問調査を行い、結果を分析してまとめ、新潟大学教育学部の紀要に掲載された。また、小川先生も幼稚園のロフトの危険性に関するアンケート調査を幼稚園教諭と保護者に行い結果をまとめた。 高齢者への教育期については、高齢者A大学で空き家問題に伴うリスクマネジメント(予防策)に関する講義を行い、空き家問題の対策や住宅のライフサイクルを踏まえた中古住宅の循環活用に関するアンケート調査を行い分析してまとめた。 さらに、新潟市立M小学校5年生4クラス120人に3時間ずつ持続可能な住生活に関するESDの授業を行った。家電製品を使用するより自分でできることや部屋でできることを優先して行うことを教示して行動変容を促し、各児童が家庭で実践するためのマイルールを決めて習慣化することにより継続していけるようにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
教育期での研究は、2019年において新潟県と静岡県で家庭科教員に知識構成型ジグソー法の授業を実践していただけたことや授業実践の結果を2020年度において順調に分析して論文としてまとめ、日本家庭科教育学会に2報が掲載されたことにより社会へ公表した。さらに、幼児期のリスクの実態把握に関する研究では、新潟大学附属幼稚園教諭がアンケートにご協力くださり、静岡県内の幼稚園においてもロフトに関する調査研究において幼稚園教諭と保護者のご協力をいただけたことにより、幼稚園でのリスクに関して学部紀要などにまとめ公表した。また、研究分担者の倉渕先生は新型コロナウイルス感染禍での学校教育や幼稚園及び個人住宅での換気による知見をまとめ、日本建築学会から公表した。 さらに、飯野は高齢者の大学で高齢者を対象に講義を行う機会を得て、空き家の防災上や治安上のリスクについて講義をして予防策を提案した。 しかし、ESDに関する海外の動向調査を2020年6月にアメリカに滞在して調査をする予定であったが、新型コロナウイルスの感染拡大のために調査が実現していない。また、各学校教育期におけるESDに関する教育が十分であると言えないことから推進して参る予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究は、各期におけるリスクマネジメントに関する研究を主に行って来た。また、ESDについては2020年に小学生を対象に節電に繋がる住まい方に関する授業実践を行った。2021年には中・高校・大学での持続可能な住生活に関する授業実践を行うことを目的として、児童・生徒・学生の知識や興味・関心及び取り組む意欲に関するアンケート調査を行い、各校種の住教育のカリキュラムを提示し、授業計画を立てる。 高校では、プラスチックの廃棄を含めた地球規模でのごみ問題、住宅の維持管理や空き家(建築ストックの活用)、家電製品の大型化や自動化に伴う電気使用量や二酸化炭素の増加などのテーマを学び協働学習を行う知識構成型ジグソー法授業の実践をする方向で、高校の家庭科教員と相談中である。小学校では、2020年度に行った授業の結果に基づいて検討して、電気使用量の削減に関する授業実践を行う予定である。 また、リスクマネジメントとして、幼児や中学生に対する安全教育の方法についてもこれまでの研究成果を踏まえて、学習方法や教材開発を行い、授業実践を行う予定である。 空き家問題に関しては、成人期の70人を対象に相続者となる立場からの空き家問題に関する認識や予防対策などに関する意見を明らかにするためのアンケート調査を行う予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの流行により、当初から予定していたアメリカに行くことができなくなり、目標としていたが海外のESDに関する研究調査の推進ができなかった。 さらに、共同研究者の小川裕子先生より、定年退職することもあり2020年度の研究費の全額が年度末に返却された。
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