2022 Fiscal Year Research-status Report
ライフステージ毎に必要なリスクマネジメントとESDを学ぶ住教育体制の構築
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19K02316
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
飯野 由香利 新潟大学, 人文社会科学系, 教授 (40212477)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小川 裕子 静岡大学, 教育学部, 教授 (20136154) [Withdrawn]
倉渕 隆 東京理科大学, 工学部建築学科, 教授 (70178094)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 持続可能な開発のための教育(ESD) / 低炭素社会 / 循環型社会 / 自然共生社会 / 自然共生社会 / 省エネ / 知識構成型ジグソー法 / 日本の伝統的な住宅 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は、ESD(持続可能な開発のための教育)を学ぶ住教育の実施を中心に、持続可能な社会を構成する3つの柱である低炭素社会、循環型社会、自然共生社会と関連させた小・中・高校で授業実践を行った。 小学校の住教育では、自然共生社会(日本の住宅が環境に配慮して建てられており、自然環境と調和する住まい方)と低炭素社会とを関連させて、2022年11月22日にN大学附属N小学校の5・6年生3クラス82名を対象に、日本の伝統的な住宅は夏の蒸し暑さ対策となる通風と日射遮蔽を主に考慮されて建てられていることを認知し、現代の生活において電気に依存しない住まい方を探究する授業を大学生が各クラス1時間行った。また、2022年11~12月にN市立N小学校の6年生2クラス70人を対象に、自然の風や太陽の光や熱を活用して自然に開放した日本の伝統的な住宅の特徴や四季における自然の鳥や虫の音を取り入れていた住まい方を学習する音授業を大学生が行った。 中学校の住教育では、2022年11~12月にK中学校の1年生2クラス51人を対象に、家族と住空間の関係を健康・快適・安全な観点から学習した後に、低炭素社会の背景と電気に依存した生活の問題を踏まえた省エネな生活の必要性を認識する授業を家庭科教員が各クラス5時間行った。 高校での住教育では、新潟県立A高校において、2021年12月~2022年1月に、2年生7クラス279人を対象に、低炭素社会と循環型社会と関連した内容を学ぶ知識構成型ジグソー法を取り入れた「住生活や住居に関わる現代の課題を学び、持続可能な社会を実現するための住まい方に関する意識・行動変容を促す授業」を家庭科教員が各クラス7時間ずつ実践した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
小・中・高校において、家庭科での健康・快適・安全な住まい方に関する内容を協働で学習する知識構成型ジグソー法を取り入れた授業実践の内容(成果を日本家庭科教育学会で論文3報(審査付き)を公表済み)を本にまとめて出版した。 さらに、ESDに関する「持続可能な社会の構築」の視点を取り入れた授業を新たに小・中・高校で実践した。これらの授業では、未来を見据えて、現在の住生活を見直して、住生活上の問題点や課題を発見して、協働学習において課題に取り組み、行動変容するための具体的な住生活方法を見い出す学習方法が実践され、ESDで育成すべき資質・能力も育成できていることを確認できた。これらのことから、これらの授業実践方法の有効性を検証した。 一方で、リスクマネジメントの住教育に繋げるための実態調査として、コロナ禍における保育施設で行われていた予防方法の実態を把握した。
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Strategy for Future Research Activity |
・幼児期のリスクマネジメントとして、空気層を多く含むことにより柔らかく熱伝導率が低い桐の床材に着眼する。保育施設での桐の床材の温度や室内の環境及び園児のけがなどの相違を明らかにすることを目的として、夏期と冬期において桐と絨毯の床材を設置している保育施設で実測調査を行い、本施設に勤務する保育士を対象に、床材に対する温冷感や園児の安全性などに関する評価をアンケート調査で得る予定である。 ・循環型社会と関連させて、日常生活における物品の整理・整頓と廃棄の実態を把握するために、若年者(大学生)・中年者・高齢者を対象にアンケート調査を行う予定である。 ・日常生活から出る燃えるごみとプラスチックごみのライフサイクルに着眼して、ごみ処理施設へのヒアリング調査、ごみ処理に関する経費等の調査、及び大学生のごみ捨ての実態把握のためのアンケート調査を予定している。 ・最終年のため、小・中・高校の住教育体制の構築のために、これまでの研究成果を冊子にまとめる予定である。
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Causes of Carryover |
当初計画していたアメリカの研究所での調査研究がコロナにより延期されて来ており、昨年度もオミクロン株の流行により再び渡米できなかった。今年度において、対面授業が始まったが、調査のための時間を作って渡米を試みる予定である。
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