2023 Fiscal Year Research-status Report
咀嚼・嚥下行動を支配する食品のレオロジーおよびトライボロジー特性に関する研究
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19K02321
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Research Institution | Kyoto Prefectural University |
Principal Investigator |
田代 有里 京都府立大学, 生命環境科学研究科, 講師 (10293094)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | こんにゃく入りゼリー / 動摩擦 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は、こんにゃく入りゼリーを試料とし、動摩擦測定から口腔内でのゼリーの滑りやすさを明らかにすることを目的とした。 こんにゃく入りゼリーは、多糖類の組成比の異なるゲルを調製して試料とした。動摩擦測定は、こんにゃくゼリー表面上でシリコンボールに一定荷重を負荷させながら原点において回転運動させたときの摩擦応力の回転速度依存性を調べた。その結果、試料間の動摩擦応力を比較したところ、多糖類濃度の低いゼリーが有意に低く、これは2022年度に応力緩和測定から求めたゲルの網目鎖が少なかったことから、離漿によりゲル表面の潤滑性が高まっていることによることが考えられた。 また、摩擦応力の回転速度依存性はストライベック曲線(物体二面間における摩擦係数の振る舞いを示す特性曲線)に類似した曲線を描いた。すなわち低速度においては動摩擦応力の大きい境界潤滑領域の曲線を描いていたことからゼリー表面とシリコンボールとが擦れあって、潤滑剤に相当する水膜が非常に薄い状態であり、中間速度においては、動摩擦応力が低下して混合潤滑領域の曲線を描いていたことから、ゼリー表面とシリコンボールが擦れたり擦れなかったりしており、ゼリー表面とシリコンボールとの間に水が介在している状態、高速度においては、動摩擦力が徐々に上昇していき流体潤滑領域の曲線を描いていたことから、ゼリー表面とシリコンボールとの間に水が十分に存在している状態であると解釈した。 このことから、こんにゃく入りゼリーが口腔内を動くことにより摩擦応力、すなわち動摩擦係数が低下して滑りやすくなっていることが示唆された。したがって、2022年度にゼリー表面の静止摩擦係数から窒息を回避できるゲルの網目鎖のモル数を推算したが、口腔内における摩擦係数の低下を考慮する必要性があることが明らかとなり、今後の課題となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
動摩擦係数測定および動的粘弾性測定は東京都産業技術研究センター所有の測定装置を利用して実施しているが、2023年度中に故障したため、データの取得が十分にできなかった。なお、2024年度の夏までに修理完了することを確認している。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は最終年度を予定しているため、当初に計画していた動的粘弾性測定および動的光散乱測定によるゲル構造解析、さらに動摩擦係数測定を実施する。そして、2019年度からの研究成果の全体をまとめる計画である。
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Causes of Carryover |
東京都産業技術研究センターの動摩擦係数測定および動的粘弾性測定の測定装置が故障したため実験を予定通りには実施できず、十分なデータを取得することができなかった。そのため当初予定よりもかなり少ない使用額となった。また、物品費等についても研究に遅れが生じているため残額が生じた。 2024年度において、実施できなかった実験および上記測定のための消耗品費、国内旅費、謝金、その他の経費(装置使用料および実験器具類運搬費)として使用する計画である。
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