2020 Fiscal Year Research-status Report
フィリピンの幼児を対象とした栄養補助食品の調理・加工法の検討と栄養教育教材の作成
Project/Area Number |
19K02323
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture |
Principal Investigator |
池田 昌代 東京農業大学, 応用生物科学部, 准教授 (10364704)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | フィリピン / 幼児 / 補食 / 栄養 / 食生活 / メニュー |
Outline of Annual Research Achievements |
フィリピン共和国(以下、フィリピン)では、経済格差と同様に貧困ゆえの栄養格差も深刻な問題となっている。フィリピンのDaycare center に在籍する3~5歳の幼児25名(女児14名、男児11名)を対象とした食事調査では、男女共に、エネルギー、タンパク質の摂取量は1日の推奨量を満たしているが、鉄、カルシウム、ビタミン類の摂取量は、推奨量を大きく下回っていることが明らかとなった。また、食事調査の結果から摂取した食品を6つの食品群に分類したところ、穀類が最も多かった。一方、野菜類は10g未満、大豆食品、海藻類はいずれも0g未満であり、ビタミン、ミネラルの供給源となる食品を日常の食生活で、ほとんど摂取できていないことがわかった。そこで本研究では、フィリピンの幼児を対象に、不足栄養素を補うための補食メニューと視覚教材を中心とした栄養教育媒体を作成した。補食メニューの給与栄養目標量は、Philippine Dietary Reference Intakes (Food and Nutrition Research Institute)を参考に設定した。補食メニューのエネルギー及び栄養素量は1日の給与栄養目標量の15%とした。補食メニューは、フィリピンの食習慣、農産物の生産・流通状況、物価・嗜好について調査した上で、対象地域で提供可能な食材を選択し作成した。ビタミン、ミネラルの供給源として moringa oleifera Lam. を使用したサイクルメニュー(5日間×12週間)を作成したところ、各メニューにmoringa oleifera Lam.を1g~4g(乾燥重量)添加することで、カルシウム、マグネシウム、鉄、ビタミン類、食物繊維の摂取量が増加し、Philippine Dietary Reference Intakesの推奨量を満たすメニューを作成することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2019年度、2020年度の研究計画では、フィリピンの農村地域に在住する3歳から5歳の幼児(約300名)を対象に食事調査を行う予定であったが、COVID‐19の世界的な感染拡大により、フィリピンへの渡航ができなくなった。このため、本申請課題で計画していた食事調査のデータ収集が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は、2019年度‐2020年度に実施できなかった食事調査を行い、フィリピンの幼児の栄養摂取状況についてデータの収集、解析を行う。また、補食のサイクルメニュー、レシピ集を作成すると共に、これらの資料をもとにWEB上で視聴できる、栄養教育教材をフィリピノ語版で作成する。
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Causes of Carryover |
2019年度、2020年度の研究計画では、フィリピンの農村地域に在住する3歳から5歳の幼児(約300名)を対象に食事調査を行う予定であったが、COVID‐19の世界的な感染拡大によりフィリピンへの渡航ができなくなった。このため、次年度使用額が生じた。旅費、謝金として計上していた研究費は2021年度に使用する予定である。
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