2019 Fiscal Year Research-status Report
Visual quantification of texture of Natsume in black Urushi (Asian Lacquer) and 3DCG reproduction
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19K02326
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Research Institution | Kio University |
Principal Investigator |
李 元貞 畿央大学, 健康科学部, 准教授 (50388906)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
望月 宏祐 長野大学, 企業情報学部, 准教授 (30760326)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 漆 / カシュー / ラッカー / テクスチャー / 光反射特性 / 感性評価 / 棗 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒトが物を見るためには,物体表面の反射光とそれを受ける人間の視覚系が対象を認識する必要がある.人の視覚はごく微妙な物体の反射特性の違いを認識できるが,そのわずかな違いが感覚的な大きな価値の違いを生む.その反射特性の違いは光沢や陰影等に表れる.その典型的な存在である「漆」のその特異性を知るために「漆」と「合成樹脂塗料」との反射光分布の違いを定量的に計測しても,その違いは明確に認められない.しかし,ヒトは特に漆専門家らは「合成樹脂塗料」よりも「漆」の方に高い価値を感じ,たとえば,「上品な肌合い」のような言葉を使って視覚的な価値の違いを表現することから,絶対的な計測値とヒトの感覚との差は大きい. これまで質感研究においては,定量データと人間が感じる感覚的な刺激とを対応させ,どの部分に人間が高い価値を感じるのかを示した研究は見当たらない.その理由として,人間が感じる微細な反射光の違いを定量的に計測するには,従来の定点型の計測法では,複雑かつ微細な陰影の分布形状を定量的に計測することが難しく,これらを感性評価に結び付けることができなかったことが挙げられる.ヒトが感じる反射光の微妙な違いを調べるには,少なくとも物体表面において,人間の視覚系で認知できないレベルの空間解像度で,一定の面積を持った領域を対象に,陰影の空間的な広がりを含めた情報を計測しなければならない. 「棗」を対象として,漆の代表的な色である黒漆,比較対象として黒のカシュー樹脂塗料とウレタン樹脂塗料の合成樹脂塗料を用いて,漆の感性評価情報「人間が感じる視覚的質感」を物理的な情報「定量的な反射特性」に対応させ,漆の感性評価が漆のどのような物理的な情報に依存しているのかを検討した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
漆職人による試料製作、コロナウイルスによる被験者実験などが順調ではない。
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Strategy for Future Research Activity |
①試料の作成 木乾素地に,錆下地2回→中塗り2回(黒漆)→上塗り工程として漆,カシュー樹脂塗料,ウレタン樹脂塗料(3種)による①全艶出し②半艶出し仕上げ、③朱色、朱溜色、潤みの色棗 ②漆専門家を対象とする被験者実験(視覚評価実験) ③光反射特性の測定、反射強度分布計測
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Causes of Carryover |
漆専門家、職人による試料作成、被験者による感性評価実験、光学的特性の計測に必要な装備、装置に対する準備と検討が必要。
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Research Products
(1 results)