2021 Fiscal Year Research-status Report
Visual quantification of texture of Natsume in black Urushi (Asian Lacquer) and 3DCG reproduction
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19K02326
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Research Institution | Kio University |
Principal Investigator |
李 元貞 畿央大学, 健康科学部, 准教授 (50388906)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
望月 宏祐 長野大学, 企業情報学部, 准教授 (30760326)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 漆 / 朱溜め / 潤み / 塗りたて工程 / ロイロ工程 / CG再現 |
Outline of Annual Research Achievements |
塗膜の視覚特性を評価する場合、平面ではその違いを明確にすることが難しいため、曲面形状の塗膜面を持つ「棗」を対象として、漆の代表的な色である黒漆、比較対象として黒のカシュー樹脂塗料とウレタン樹脂塗料の合成樹脂塗料を用いて、漆の感性評価情報「人間(漆職人)が感じる視覚的質感」を物理的な情報「定量的な反射特性」に対応させ、漆の感性評価が漆のどのような物理的な情報に依存しているのかを検討してきた。 本年度では黒漆と比較対象として、朱、朱溜、潤みの塗りたて、ロイロ仕上げ工程による表面特性の変化について反射特性を中心に検討を行った。漆は紫外線などの影響によって劣化しやすく、長期間同一の状態を維持することが難しい素材である。時間の経過(1年)による光反射特性の計測と反射特性推定(棗に単一光を照射した状態を画像として反射光強度を計測する。計測画像と棗の幾何的な関係性から光反射モデルに基づいて光反射特性を推定する)を中心に検討を行った。 その結果、漆器本来の美しさを3次元的にデジタルアーカイブできれば、CGとして半永久的な再現が可能になり、後世にその光沢を伝え続けることが可能になると考えられる。デジタルカメラとマクロレンズを用いて、漆器表面の光反射特性を精密に計測する手法を提案することを目的とし、 (1)棗を対象として、その一部を円筒形状と仮定し、画像情報のみから光反射特性を定量化を行った。(2)仕上げや塗り方が異なる計測試料を3種類用意し、それぞれの光反射特性を計測した。(3)棗の計測値は光反射モデルでフィッティングし、そのときのモデルパラメータを推定し、手法の妥当性を検証した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
①漆特有の表面特性によりCG再現に苦戦している。 ②コロナ禍で対面による被験者実験が困難である。
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Strategy for Future Research Activity |
仕上げ工程(塗りたて、ロイロ)にはどのような光反射モデルで対応すべきかに注目し、 ①ロイロ仕上げ以外の試料は光反射特性の推定誤差が大きくなる傾向があり、光反射モデルを拡張することによって推定精度を向上させる。 ②全方位画像を用意することで実シーン照明下の棗を再現する。 ③将来的には棗に対してレーザースキャン等を行って精密な形状情報が得られればCGの再現精度がより上がることと考えられる。したがって、レーザースキャナの構造上の問題から棗の上下など全方向の角度からの計測を試みる。また、棗を側面方向から見た際の断面の情報が得られたことから、回転スイープに基づいて3次元の形状を生成する。シャッター速度を上げて計測するなど、3DCG再現用のプログラムや計算を見直す。
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Causes of Carryover |
①コロナ禍で被験者実験などが進んでいない。 ②漆職人により作成された試料などに見直しが必要である。
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