2019 Fiscal Year Research-status Report
摂取した食品成分や誘導体等による腸管細胞の活性酸素産生系活性修飾の分子機構の解明
Project/Area Number |
19K02329
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Research Institution | Shokei Junior College |
Principal Investigator |
菊池 秀彦 尚絅大学短期大学部, その他部局等, 教授 (10301384)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | フィトケミカル / マクロファージ / 活性酸素産生系 / 分化誘導 / 遺伝子発現 / カルコン / スルフォラファン / エクオール |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は腸管に存在する細胞の中で、特にマクロファージを対象として種々のフィトケミカルの影響を調べた。研究系としては、マクロファージのモデル細胞として知られる単芽球様株細胞U937のin vitro分化誘導系を用い、レチノイン酸で誘導される活性酸素産生能に対するフィトケミカルの影響を調査した。その結果、カルコン骨格そのものは活性酸素産生系の重要な遺伝子であるgp91-phoxの転写を促進するが、タンパク質の発現については阻害することを明らかにした。加えて、カルコンへの水酸基の付加はgp91-phoxタンパク質の発現を増強し、特にイソリキリチゲニン(水酸基3つ)やブテイン(水酸基4つ)は強力な活性酸素産生能誘導効果を示すことも判明した。さらに、ブロッコリーなどのアブラナ科植物に含まれるスルフォラファンが濃度依存的にレチノイン酸誘導性のU937細胞の活性酸素産生能を強く活性化することも発見した。スルフォラファンは上述のヒドロキシカルコン類(イソリキリチゲニンやブテイン)とは異なり、p47-phox及びp67-phoxのタンパク質発現量を亢進することにより活性酸素産生能を増強することを解明した。この他、スルフォラファンに関しては、白血病細胞に対して強い細胞毒性を示すことも明らかにした。以上の、研究成果は、それぞれ学術論文に発表した。現在、エクオール(大豆に含まれるイソフラボンの一種ダイゼインが腸内細菌の作用を受けて変換されて生じる物質)の細胞毒性について論文投稿の準備を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
カルコン類やスルフォラファンが単芽球様株細胞U937の分化誘導や細胞増殖に顕著な影響を示すことを明らかにし、論文として公表することができた。その他のフィトケミカルについても興味深い知見を得つつあり、概ね予定通り順調に進行していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、昨年度の研究内容(マクロファージについての研究)を継続して遂行する他に、これと平行して腸管を構成する主たる細胞である大腸細胞についても研究にも着手する予定である。前者については、いくつかのフィトケミカルで興味深い知見が得られているので、研究を進めて今年度中の論文発表を目指す。
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Research Products
(7 results)