2021 Fiscal Year Research-status Report
コメの放射性セシウム汚染に、高濃度セシウム含有不溶性微粒子は影響しているか?
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19K02331
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
桧垣 正吾 東京大学, アイソトープ総合センター, 助教 (50444097)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 放射性セシウム / 放射性微粒子 / 分離 / イネ / 原発事故 / コメ / 不溶性微粒子 |
Outline of Annual Research Achievements |
水田試料では、今年度も新型コロナウイルス感染症の感染拡大による社会情勢から、東京から福島県への出張を行うことができず、新たな試料採取が不可能であった。そのため、過去に採取し、放射性セシウム分布の原状が保存されている試料について検討を行った。これまで、イメージングプレートによる直接の捜索ができなかった茎および葉の試料を、濃硝酸および過酸化水素水によって高熱で有機物を分解し、放射性Cs含有不溶性微粒子(RCsBP)の直径よりも小さいフィルター上に捕集して解析を行った。しかし、今年度測定を行った試料からはRCsBPは発見されなかった。 一方で、不溶性微粒子の分離手法・分離技術の最適化により可能となった、多量のRCsBPの単離による原発事故直後の放射性プルーム中に含まれるRCsBPの割合の実測については順調に研究が進展した。100個を超えるRCsBPを単離し、それぞれ1個ずつのRCsBPについて60万秒の連続測定を行い、順次放射能を決定した。放射能およびセシウム同位体比から、全て2号基由来のRCsBPであると現時点では考えられる。また、分離作業の中で、イメージングプレートによる平面分布が通常のRCsBPとは明らかに異なる粒子が見つかった。このことは、球状ではない2号基由来のRCsBPが存在していること、あるいは、高濃度の可溶性放射性セシウムが飛来して降下および沈着が起こったこと、の2つの可能性を示唆している。今後、この粒子については、他のRCsBPよりも詳細に分析を進める計画である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度修正した方針に従い研究を遂行することが出来、意義のある成果を出す見通しが立ったと考えられるため。
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Strategy for Future Research Activity |
電気炉によりセシウムの沸点よりも低い温度で試料の灰化処理を行い、RCsBPの捜索を行う方針である。本法は破壊法であるが、この手法の適用により、有機物の量が多い籾の試料や、土壌微粒子が多く含まれる根の試料についても高い効率でイメージングプレートによる放射線検出が行える。 また、単離した多量のRCsBPについては、高精度の放射能測定を測定を完了させ、原発事故直後の放射性プルーム中に含まれるRCsBPの割合を決定する。さらに、平面分布が通常のRCsBPとは明らかに異なる粒子については、より詳細な分析を行う。
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Causes of Carryover |
昨年度に引き続き、新型コロナウイルス感染症感染拡大の影響のため試料採取に赴くことができなかった。また、関連学会もオンライン開催となり、旅費の支出が全くなかったためである。2022年度に対面での学会開催がどの程度行われるかは現時点で不透明な状況であるため、消耗品の購入に充てる計画である。
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Research Products
(3 results)