2022 Fiscal Year Annual Research Report
The exploration of food to prevent thrombotic disease in evacuation life during disaster and development to new functional food
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19K02339
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
大藏 直樹 帝京大学, 薬学部, 准教授 (60349256)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷口 雅彦 大阪医科薬科大学, 薬学部, 教授 (00278590)
大石 勝隆 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 研究グループ長 (50338688)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 血栓症 / 食品 / 災害 |
Outline of Annual Research Achievements |
災害時の避難生活では、血液凝固の亢進により血栓傾向となって、エコノミークラス症候群や心筋梗塞などの血栓性疾患が多発する。本研究は、血栓性疾患を予防する食品成分を探索すること、そして、避難生活を想定したモデルマウスを用いて有効な食品を見出し、食生活から避難生活の血栓性疾患の予防を提案することが目的である。 エコノミークラス症候群を想定した拘束ストレスモデルでは、PAI-1やフィブリノゲンなど血栓形成傾向の原因となる因子の上昇がみられた。しかし、睡眠障害モデルでは、予想に反して血栓形成傾向となる因子の上昇がみられなかった。そこで、拘束ストレスモデルマウスへ餌に混ぜた明日葉カルコンを摂取させ、PAI-1やフィブリノゲンなどの上昇への影響を調べたが、有意な上昇抑制効果はみられなかった。ところで、高齢者は若齢者にくらべて、血栓形成傾向が強く、避難生活ではより血栓性疾患を発症する危険性が高いと思われる。一方で、高齢マウスでもヒトと同様に血中のPAI-1やフィブリノゲンが高い値を示すことが分かっている。そこで、若齢から高齢になるまで明日葉黄汁を餌に混ぜて飼育したマウスで検討したところ、対照に比べ血中のPAI-1が有意に低下していることがわかった。 他方、食品中の機能性物質の分画と特定については、新たに探索した食品成分に有用な活性はみられなかった。しかし、これまでに我々は、黒酢や黒酢もろみ末中に抗血栓物質が含まれる可能性を示していることから、in vitroの評価系で、これらの分画物中の活性物質の探索を進めた。物質を特定するには至らなかったが、黒酢や黒酢もろみ末抽出物中には分画後も抗凝固活性を持つ物質が含まれる可能性を示した。 今後のさらなる検討が必要だが、モデルマウスを使った成果も、成分探索で得られた知見も、避難生活などでの食品成分を使った血栓性疾患の予防につながる結果であると考えられる。
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