2020 Fiscal Year Research-status Report
地域活性化を視野に近畿圏産伝統野菜の抗アレルギー成分の検索と免疫応答性の解明
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19K02344
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Research Institution | Mukogawa Women's University |
Principal Investigator |
高橋 享子 武庫川女子大学, 生活環境学部, 教授 (50175428)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 抗アレルギー / 地場産物 / ラット好塩基球白血病細胞 (RBL-2H3) / HP-20ダイアイオン / βーヘキソサミニダーゼ / Ionophore A23187 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該研究では,近畿圏内の地場特産野菜の抗アレルギー性を調べ,花粉症などの症状緩和に役立つ食品の発見と特産野菜の市場価値の向上を目指す研究である.初めに,2019年度は,抗アレルギー作用を持つ特産野菜のスクリーニングを実施した.本研究では,抗アレルギー成分のスクリーニングによく利用されるラット好塩基球白血病細胞 (RBL-2H3) を使用した. 2019年度のスクリーンニングでは,過去に購入し凍結保存していた11種類 (三田ゴボウ,黒大豆,大納言小豆,でかんしょねぎ,三田うど,あもち芋,山の芋,朝倉山椒,ぺっちん瓜,網干メロン,まくわ瓜) の熱水抽出物を試料とした.その結果,三田ゴボウの茎部に強い抗アレルギーが認められた.そこで,大阪府八尾市の特産物である若ごぼう (葉ごぼう) についても追加で調査した.その結果,若ごぼうの葉部や茎部も抗アレルギーが認められた.さらに,これらの抽出物の濃度依存性も併せて確認した. その結果,三田ごぼうの茎部や若ごぼうの葉部および茎部に,抗アレルギー成分が含まれることが明らかとなった.次に、三田ゴボウや若ごぼうの抽出物を分画し,活性画分を見出し,さらに成分の同定や抗アレルギー活性の分子メカニズムについても併せて検討した. 2020年度には, この抽出物をHP-20ダイアイオンで分画した結果、40%及び99%エタノール (EtOH) 溶出分画部で脱顆粒抑制作用が認められた。、この2分画について濃度依存性と脱顆粒抑制メカニズムを検討した。特に活性の強かった若ごぼうの茎部と三田ごぼうの茎部の熱水抽出物をHP-20ダイアイオン樹脂で分画し,高速液体クロマトグラフィー (HPLC) で再分画し,活性成分の単離精製を行なった. 最後に,LC-MS/MS及びNMRを用い成分同定を行なった結果, onopordopicrinが活性成分の可能性があると推定した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
スクリーニングの結果より,三田ごぼうや若ごぼうには抗アレルギー成分が含まれることを証明できた.また,これらの食品での抗アレルギー性に関する報告はない.従って,新規の抗アレルギー成分である可能性があると思われる.当初の予定では,2020~2021年に,活性成分の同定や動物モデルでの試験を予定している. しかし, コロナウイルスの社会情勢を踏まえ,活性成分の同定を2020年度に実施し,動物実験は2021年度に計画しているが状況を踏まえて検討する.
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は、ごぼう葉含有の抗アレルギー成分onopordopicrinが、RBL-2H3細胞に対してどのような抗アレルギー抑制機序を行なっているかを検討する. 抗アレルギー成分が細胞外でのIgE発現受容体結合のIgE架橋構造に対する抑制か、またはカルシウムイオンに関連して細胞内シグナル伝達での抑制であるかは明らかではない. 従って, 脱顆粒抑制メカニズムについては, カルシウムIonophore A23187を用いて細胞外からのCa2+イオンの流入抑制を測定を行う予定である. また、当初の予定では、動物実験での追跡を検討しているが、コロナ状況により動物実験が不可能な場合には、代謝経路について網羅的に解析する方向で検討する。従って、予算については問題なく遂行できる予定である。
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Causes of Carryover |
2020年度動物実験を予定していたが、コロナ禍の状況で、大学方針で研究の縮小を余儀なくされた。従って、2021年度でも動物実験を予定しているが、感染拡大状況を考慮して判断する。しかし、時間的な問題もあるので、動物実験に変えて、メタボローム解析として代謝経路を網羅的に解析を検討している。本解析の費用は、動物実験への費用を使用する予定である。
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