2023 Fiscal Year Annual Research Report
地域活性化を視野に近畿圏産伝統野菜の抗アレルギー成分の検索と免疫応答性の解明
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19K02344
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Research Institution | Mukogawa Women's University |
Principal Investigator |
高橋 享子 武庫川女子大学, 食物栄養科学部, 教授 (50175428)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 抗アレルギー 地場産物 / ラット好塩基球白血病細胞 (RBL-2H3) / サイトカイン / Ca2+ / MAPキナーゼ / 下流シグナリング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,近畿圏内の地場特産野菜の抗アレルギー性を調べ,花粉症などの症状緩和に役立つ食品の発見と特産野菜の市場価値の向上を目指す研究である.2020年度~2021年度は、ラット好塩基球白血病細胞 (RBL-2H3) を用いて, 特産野菜11種類から,三田ゴボウや若ごぼうの茎部に強い抗アレルギーが認められ、HP-20ダイアイオン樹脂で分画し,高速液体クロマトグラフィー (HPLC) で再分画し,活性成分の単離精製を行なった. LC-MS/MS及びNMRを用い成分同定結果,onopordopicrin(OPP)が活性成分であると同定した. また、LC-MS/MSと全指紋分析を用いて, OPP生合成経路の推定を行った。2022年度は、抗アレルギー性の機序についてOPPのアレルギー抑制メカニズムの検討を行った.OPPは,抗原刺激後の脱顆粒放出を濃度依存的に抑制した.次に,カルシウムイオノフォアのA23187を刺激剤とした脱顆粒放出抑制効果を検討した結果,脱顆粒放出も濃度依存的に抑制した.しかし,抗原刺激後の細胞へのCa2+流入を測定した結果,OPPは細胞へのCa2+流入を抑制しなかった.免疫細胞を刺激し,サイトカインを産生するPMAを刺激剤として脱顆粒放出抑制効果を検討した結果,脱顆粒放出を濃度依存的に抑制した.さらにOPPにおける抗原刺激後の炎症性メディエーター(TNF-α,およびLeukotriene B4)の放出も抑制した.OPPはp-38キナーゼのリン酸化を抑制した.以上の結果より,OPPのアレルギー抑制機序は,アレルギー免疫応答の下流のシグナリングであるPKC活性化による脱顆粒及び炎症反応を抑制すると示唆された.
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