2021 Fiscal Year Research-status Report
セリアック病の発症メカニズムの解明と食品成分による抑制
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19K02347
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Research Institution | Kyushu Sangyo University |
Principal Investigator |
高杉 美佳子 九州産業大学, 生命科学部, 准教授 (60305802)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新井 博文 北見工業大学, 工学部, 教授 (70295848)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | セリアック病 / 小麦グルテン / 腸管透過性 |
Outline of Annual Research Achievements |
セリアック病の発症メカニズムの解明および食品成分による症状緩和を最終目的として、グリアジン未消化ペプチドの腸管透過性亢進作用およびタイトジャンクション構成タンパク質発現量への影響を検討した。 ヒト結腸癌由来細胞株Caco-2をトランズウェルインサート上で3週間程度培養して小腸上皮様細胞に分化させ、小麦グリアジン人工消化物 (PTG) を終濃度1 mg/mLで加え、4時間後までのTEERの経時的変化を調べた。その結果、比較対象であるウシ血清アルブミンの人工消化物 (PTB) およびサンプル無添加では、TEERの変化がほとんど見られないのに対し、PTGは時間経過とともにTEERを低下させ、4時間後には添加前の70%程度にまで低下した。また、TEER低下作用は0.25 mg/mLのPTGでも認められたが、その程度は低かった。別の腸管透過性の指標であるFITC-dextranの透過量についても検討した結果、PTGはFITC-dextranの透過量も増加させていた。さらに、生体内の小腸環境に近いpH6.0の条件下でPTGの腸管透過性に及ぼす影響について調べた結果、pH7.4の時よりも急激に腸管透過性が亢進し、添加1時間後にはTEERが添加前の60%程度にまで低下したのに対し、PTB添加ではTEERの低下は見られなかった。 また、PTGがタイトジャンクション構成タンパク質の発現に及ぼす影響を調べた結果、PTGは、Claudin 1の発現を抑制する傾向が認められた。 今後はPTGがClaudin 1以外のタイトジャンクション構成タンパク質の発現に及ぼす影響およぼ細胞内シグナル伝達に及ぼす影響について詳細に調べる必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
実験系の確立に当初の予定より時間がかかったことと、実験に必要な器具類の納入が著しく遅れたため。
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Strategy for Future Research Activity |
PTGがタイトジャンクション構成タンパク質の発現に及ぼす影響および細胞内シグナル伝達に及ぼす影響について調べる。さらに、PTGの腸管透過性亢進作用を抑制するポリフェノール類を探索する。
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Causes of Carryover |
実験の進捗が遅れたため、次年度使用が生じた。PTGがタイトジャンクション構成タンパク質の発現に及ぼす影響および細胞内シグナル伝達に及ぼす影響に関する実験用消耗品等の購入に使用する。
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