2020 Fiscal Year Research-status Report
食中毒起因カンピロバクターの調理環境における二次汚染実態の解明
Project/Area Number |
19K02350
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Research Institution | Osaka Institute of Public Health |
Principal Investigator |
中村 寛海 地方独立行政法人 大阪健康安全基盤研究所, 微生物部, 主幹研究員 (00332445)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野本 竜平 神戸市環境保健研究所, その他部局等, 研究員 (60642238)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | カンピロバクター / 食中毒 / 二次汚染 / 飲食店 / 調理環境 / リアルタイムPCR |
Outline of Annual Research Achievements |
大阪市内において令和元年度に発生したカンピロバクター食中毒の原因施設18店舗中13店舗(店舗A~M)から採取したふきとり材料から培養法とリアルタイムPCR法によりカンピロバクターの検出を試みた。培養法ではふきとり材料のカンピロバクターは全て陰性であったことから、カンピロバクター遺伝子を生鶏肉汚染の指標とし、調理環境中における二次汚染について考察した。調査の結果、カンピロバクター遺伝子陽性と判定されたのは、13店舗由来ふきとり材料計130検体のうち8店舗由来18検体(13.8%)であった。陽性と判定された18検体中5検体は生鶏肉以外の野菜等を取り扱う調理器具や調理台であり、これらは生鶏肉用のものと厳密に区別されていないかあるいは作業中に二次汚染を受けた可能性があると考えられる。推定カンピロバクター菌数が最も高かったのはカランのハンドル部分であり、独立した2回の測定データがふきとり1か所あたりそれぞれ65.05 cfu相当、72.67 cfu相当であった。その次に菌数が高かったのは冷蔵庫内の14.34 cfu相当であった。その他は0.07~7.67 cfu相当であった。カランのハンドル部分は調理作業者がよく触れる場所と考えられることから、調理環境でカンピロバクターの二次汚染を拡大させる要因となっているかもしれない。生鶏肉を取り扱う調理作業中は、包丁やまな板、調理台を生鶏肉とそれ以外で厳密に区別し、カラン等を介したカンピロバクター汚染が拡がらないよう細心の注意を払う必要があると考えられた。また、これまでのデータに2020年までの食中毒患者由来カンピロバクター菌株、国産鶏肉および輸入食肉由来菌株等を加えた総計852株についてmultiplexPCR Binary Typing法(mP-BIT)による菌株の型別を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度は検査等の業務が多忙であったこと、また、食中毒の原因施設となった飲食店のふきとり調査を実施できる貴重な機会に恵まれたことから、当所計画していなかった飲食店の調理環境におけるふきとり材料についてリアルタイムPCRによるカンピロバクター遺伝子の検出状況を調べることとなった。これらの理由により、研究に費やす時間が少なくなり、カンピロバクター菌株の環境ストレス耐性に関する実験を実施するまでには至らなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
mP-BIT型別結果に基づいてカンピロバクター菌株を選抜し、菌株のバイオフィルム形成性、好気培養による発育を調べる。これらの表現型に違いが見られる株について次世代シーケンサーにより全ゲノムを解読し、環境ストレスに関わる遺伝子群の比較ゲノム解析を実施する。
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Causes of Carryover |
新型コロナ感染症の影響で参加を予定していた学会開催が中止になったり、WEB開催となったため、計画していた旅費の執行ができなかった。また、今年度は消耗品が高額になるバイオフィルム形成実験や次世代シーケンサーによるゲノム解読が実施できなかったため、これらを次年度に繰り越すこととした。
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Research Products
(2 results)