2021 Fiscal Year Research-status Report
食中毒起因カンピロバクターの調理環境における二次汚染実態の解明
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19K02350
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Research Institution | Osaka Institute of Public Health |
Principal Investigator |
中村 寛海 地方独立行政法人 大阪健康安全基盤研究所, 微生物部, 主幹研究員 (00332445)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野本 竜平 神戸市健康科学研究所, その他部局等, 副部長 (60642238)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | カンピロバクター / 食中毒 / 環境適応 / バイオフィルム |
Outline of Annual Research Achievements |
2011~2020年に発生した167事例由来582株のカンピロバクター菌株(C. jejuniおよびC. coli)についてmultiplex PCR binary typing(mP-BIT)法で型別を実施した。C. jejuni は485株が81タイプ(J-01~J-81)に分類された。最も多く検出されたタイプはJ-27で37事例由来126株(26.0%)、次いでJ-35が20事例由来38株、J-72が18事例由来26株、J-07が13事例由来25株、J-01が11事例由来24株であった。C. coliは97株が12タイプ(C-01~C-14; C-10,13を除く)に分類され、C-02が16事例由来43株(44.3%)、C-06が15事例由来42株(43.3%)であった。また上記C. jejuniの主要な5タイプの菌株の検出状況を経時的に調べた結果、J-27とJ-35は検出頻度が高く、いずれも2011~2020年までほとんど全ての年で検出された。また、J-35は2013~2014年、J-27は2015~2016年、J-72は2018~2019年に多く分離された。主要な3タイプのヒト由来C.jejuni19株(J-27が8株、J-35が5株、J-72が6株)を選び、これらに食品あるいは環境のふきとり由来25株を加えた44株について、48時間後の微好気環境下での増殖を濁度として測定するとともに、バイオフィルム形成について調べた。その結果、食品由来株とヒト由来株のバイオフィルム形成に有意差はなかったが、主要な3タイプとそれ以外のタイプの4群で比較した結果、J-27タイプの菌株のバイオフィルム形成が有意に低いことがわかった(P<0.05)。これら4群の48時間培養後の濁度に有意差はなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
カンピロバクター菌株のバイオフィルム形成試験は実施できたものの、菌株数が少ない。現在、次世代シーケンサーによる全ゲノム解読を実施中であるが、これらの菌株のデータ解析が未着手である。年度内に海外誌への投稿を目標にしてきたが、現在原稿作成中で未だ投稿できていない。
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Strategy for Future Research Activity |
2017~2020年はmP-BIT未解析の148株を含んでいるため、随時解析を進めて食中毒の全体像を見るとともに、一部の代表株を選んでNGSデータを使用したwgMLSTを実施し、mP-BIT型別結果の精査を行う。mP-BIT型別で分類された菌株の中からバイオフィルム形成試験と酸素耐性試験を実施するとともに全ゲノム配列を解読して環境ストレス関連因子の比較検討を行う。
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Causes of Carryover |
業務多忙のため思うように実験ができず、消耗品の執行が計画通りに進まなかった。新型コロナ感染症の影響で参加を予定していた学会がWEB開催となり、計画していた旅費の執行ができなかった。論文の投稿を予定していたが、進捗が遅れているため、英文校正などの執行ができなかった。
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Research Products
(2 results)