2020 Fiscal Year Research-status Report
腸内環境に着目したストレス軽減効果を有する食品素材の探索と有効性評価
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19K02357
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
萱島 知子 佐賀大学, 教育学部, 准教授 (90452599)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松原 主典 広島大学, 人間社会科学研究科(教), 教授 (90254565)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ローズマリー / ストレス / 腸内環境 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、ストレスによる腸内環境の悪化を軽減する食品素材を見出し、さらにはそれらがストレス状態における脳機能に与える影響との関連を検討することである。本年度の成果は以下のとおりである。 (1) 昨年度の予備実験にて、ローズマリーの抽出条件として熱水抽出物においてもストレス状態の軽減効果が期待でき、特にストレス状態の初期に効果的である可能性が得られた。そこで、本年度はローズマリー熱水抽出物の摂取が、急性ストレス状態としたマウスに与える効果を検討した。balb/c系オスマウスを金属製 ケージに3時間拘束後、直ちに解剖し、ストレス関連因子に対する影響を調べた。ストレスホルモンである血清コルチコステロン濃度については、拘束処置により有意な増大がみられた。これに対して、有意差は確認されなかったものの、ローズマリー摂取では増大が81%程度に抑えられていた。一方、腸内環境因子については、小腸内容物のIgA含量 はストレスおよびローズマリー摂取の影響はみられなかった。ムチンや抗菌ペプチドといった腸内環境因子の遺伝子発現について現在分析中であり、これらの結果をふまえて急性ストレスに対するローズマリー熱水抽出物摂取の影響を評価したい。 (2) マウスへのローズマリーの香り暴露によって、強制水泳実験での不動時間の短縮、海馬の免疫染色において活性化していないミクログリアが多い傾向が観察された。しかし、両結果とも有意な影響は認められず、ローズマリーによるうつ様行動改善効果に対して香り成分の寄与は小さい可能性が考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナ感染拡大により、特に年度前半の研究計画の変更を余儀なくされたため、やや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、試料は得られているため分析を進め、急性ストレス状態のマウスの腸内環境においてローズマリー熱水抽出物の効果を明らかにしたい。その結果をふまえて、場合によっては、ストレスの評価モデルを見直し、R3年度以降はローズマリー熱水抽出物の作用機構と他の素材の効果を明らかにしたい。
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Causes of Carryover |
実験計画の変更により予算が必要となり前倒し申請を行ったが、購入予定であった物品を他の研究室より譲渡してもらったため繰越金が生じた。これらは、消耗品の購入に当てたい。
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Research Products
(2 results)