2022 Fiscal Year Research-status Report
戦後沖縄の食生活と食文化に関する一考察 ―次世代への継承・創造に向けて―
Project/Area Number |
19K02358
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
田原 美和 琉球大学, 教育学部, 准教授 (30347124)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浅井 玲子 琉球大学, 教育学部, 教授 (10325821)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 沖縄 / 食生活 / 食文化 |
Outline of Annual Research Achievements |
報告年度も新型コロナウイルス感染症の影響を受け、年度始めに計画していた調査は厳しい状況ではあったものの、関連する自治体などからの協力を得て、実施した研究の概要を報告する。 (1)米国統治期(1945~1972)の食生活を体験し、家庭で調理経験のある70代以上の高齢者を対象とした質問紙・聞取り調査を2022年5月から2023年3月に実施した。調査地域は、沖縄本島中部(U市2地区)、南部(N市4地区)で、本調査の説明後に同意の得られた37人を研究対象とした(平均年齢79.1±5.4歳)。調査内容は、食糧難の時期における食生活の工夫や思い出、米国その他外来からの配給食糧の食体験、復帰以降の食生活の変化および次世代の子ども達に伝え継ぎたい食に関連する項目などである。主な調査結果として、配給食糧の食体験については、生業、近隣に米軍基地の有無、親族らが軍と関連する職に従事していたかなどによって異なる事例がみられた。次世代に伝え継ぎたい食に関する内容は(複数回答)、沖縄の料理、食べ物を大切にする心、食事のマナー、食文化などの順に多かった。なお、聞取り調査に関しては感染症の影響を受け、報告年度も計画通りの調査は厳しい状況であったため、R5年度も継続して適切な感染症対策をとりながら取組む予定である。 (2)戦後沖縄の食生活・食文化に関する文献調査に継続して取組み、上記の研究結果をもとに食育に関する教材提案を行うための基礎資料としてデータベース化を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
戦後沖縄の食生活に関する文献・資料収集などに関しては継続して実施しているものの、本年度も感染症の影響を受け、当初の計画通りの調査・研究を進める事は困難であった。特に聞取りに関しては計画通りの調査が厳しかったため、それらを活用した食育の教材作成・提案までには至っていない。感染症の影響による複数年度にわたる調査の延期および研究計画の変更のため、補助事業期間の延長を申請し、承認を得た。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)昨年度に引き続き、高齢者を対象とした聞取り調査を実施する。(2)戦後沖縄の食生活・食文化に関する文献調査、質問紙、聞取り調査等で得られた基礎資料をもとに学校現場と連携しながら食育に関する教材・資料の提案を予定している。当初の計画では、教材の作成・実践・評価までを想定していたものの、長期にわたる感染症の影響により十分なデータを確保できないと判断した時は、内容の一部を再検討しながら実施する予定である。
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Causes of Carryover |
感染症の影響により予定していた高齢者を対象とした聞取り調査が計画通りに実施できず、旅費および謝金などの一部を次年度に繰り越す事となった。併せて、それらの結果をもとにした食育教材の検討・提案を行う事も厳しい状況であったため、生じた予算は聞取り調査の謝礼、データ整理などの謝金、教材・資料の作成費、成果発表を行うための旅費などに使用する予定である。
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