2019 Fiscal Year Research-status Report
The study of biological reduction of water hardness and nitrate nitrogen concentration in drinking water.
Project/Area Number |
19K02361
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Research Institution | Tokyo Kasei University |
Principal Investigator |
小関 正道 東京家政大学, 家政学部, 教授 (60248987)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
海老塚 広子 東京家政大学, 家政学部, 講師 (20773948)
高橋 肇 東京海洋大学, 学術研究院, 准教授 (40413116)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 藻類 / 地下水 / 硝酸態窒素濃度 / 硬度 / 低減効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
東京都北区の地下水を水槽6台に入れ、液肥を毎週加えながら藻類を自然発生させ生育させた。各水槽で生育した藻類を次世代シーケンサーで同定し、3種類についてはおよその種を判定できたが、その他については判定できなかったため次年度に継続して同定実験を行うことになった。6種類のうち3種類の藻類(藻類A,B,Cとする)について硝酸態窒素濃度低減効果を検討した。実験方法は、水槽中で生育させた各藻類を回収し、試料水(北区の地下水)に入れ1週間予備培養を行った後、遠心分離機で藻類を脱水し脱水後の藻類を0.2 g,0.5 g,1.0g,1.5g(n=3)ずつ精秤し試料水75 mLずつ分注した100 mL三角フラスコに入れ、26℃で24時間震盪させながら藻類と試料水を接触させた。この際、実験操作を行わない試料水の群(原水群)と実験操作は同様に行うが藻類を入れない群(対照群;CN群)を設定した。24時間接触後、ろ紙ろ過し藻類とろ液を分離し、ろ液を分析用のサンプルとした。サンプルはpH測定後、イオンクロマトグラフ分析まで4℃で保存した。イオンクロマトグラフ分析は、サンプルを超純水で希釈後、メンブレンフィルター一体型ろ過バイアル(0.45 μm)でろ過を行い、陽イオン(Ca2+,Mg2+,K+,NH4+,Na+,Li+)と陰イオン(NO3-,NO2-,SO42-,Br-,Cl-,F-)濃度を測定した。その結果、原水群とCN群では有意差は認められず、藻類A,B,C全てにおいて、CN群と比較して藻類を0.2 g-1.5 g添加した全ての群でpHの有意な上昇と硝酸態窒素濃度及び硬度の低減効果が認められた。対象とする水環境中で発生した藻類を用いることが可能であると考えられ、藻類を自然に繁茂させるだけで簡便に低コストに硝酸態窒素濃度及び硬度を低減できるため、この方法は有用性が高いと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究概要に記載した以外の別な実験系でも同様な実験を実施する予定でいたが、その装置を冷却する冷却装置を購入する費用が捻出できず、実験を実施することができなかった。この実験は、冷却装置を購入後の次年度に行うこととした。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度に引き続き東京家政大学の実験室で、試料水と藻類を三角フラスコ及び浄水場ミニプラント内で接触させ、硝酸態窒素濃度低減効果を検証する実験を行う。 沖縄県摩文仁浄水場で採取した藻類(Cladophora albida)を用いた検討において、摩文仁浄水場の原水及び東京都北区の地下水中の硝酸態窒素濃度低減効果を確認できたが、東京都北区の地下水の結果においては藻類の生育状態が悪化した。このことから、硝酸態窒素濃度を藻類の作用で低減させるためには、対象とする水環境中で生育した藻類を用いることが望ましいと考えられ、昨年度、東京都北区の地下水とその中に自然発生させた藻類を用いて検討を行い、対象とする水環境中で生育した藻類を用いることでも有意な硝酸態窒素濃度低減効果を示すことを明らかにした。今年度は、さらなる知見を得るために、硝酸態窒素濃度の高い板橋区の湧水を試料水にして同様の実験を行う。昨年度行った実験において、東京都北区の地下水に自然発生させた藻類の同定が6種類中3種類しかできていないため、今年度も継続して同定実験を行うと同時に、板橋区の湧水に自然発生した藻類の種類の同定も行う。このことにより、様々な水を対象として藻類を自然発生させ生育することにより硝酸態窒素濃度を十分に低減できるかどうか、また、硝酸態窒素濃度低減効果の高い藻類の種類を明らかとすることで、各地域において適切な藻類を選定するための知見を得る。 さらに、沖縄県摩文仁浄水場原水の硝酸態窒素濃度を低減させることを目的として、三角フラスコよりも浄水場のろ過池に近い浄水場ミニプラントを実験室内に設置し、摩文仁浄水場の原水と藻を取り寄せて硝酸態窒素濃度低減効果の検討を行う。このために必要となる冷却装置は購入した。この結果を基に、摩文仁浄水場の実際のろ過池での硝酸態窒素濃度低減効果の検討も行う。
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Causes of Carryover |
2種類の実験系の内1種類については予定通り終了した。もう1種類の実験系での実験をするためには冷却装置が必要になるのだが、前年度に実験が可能な時期までには、その装置の購入費用を捻出することができなかった。そのため、もう1種類の実験系での実験実施を見送った。しかし前年度終了間際の3月に冷却装置を購入することができたので、次年度はもう1種類の実験系での実験を実施する。その実験実施のための費用として、次年度に繰り越すこととした。繰越金の主な使途は、主に水質分析実施のための試薬、消耗器具等の購入費および依頼分析の委託費に充てる。
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Research Products
(1 results)