Investigations of medicinal properties of "Shinkiku", a fermented herbal drug

2020 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 19K02374
• Research Institution: Kagoshima University
• Principal Investigator: 神戸 果優 (奥津果優) 鹿児島大学, 農学部, 特任助教 (60578433)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 安宅 弘司 鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 特任講師 (30563358) ; 神戸 悠輝 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 講師 (60549913)
• Project Period (FY): 2019-04-01 – 2022-03-31
• Keywords: 神麹 / Aspergillus sp. / パイカ行動

Outline of Annual Research Achievements

神麹は，微生物発酵を経て作られる薬の麹であり，現在日本において医療用漢方製剤に含まれている漢方用薬である．しかしながら神麹は薬効の作用機序が不明であるため，作用の根幹を担う薬効成分の同定が求められている．本研究では，培養細胞とマウスの機能解析を用いて神麹の薬効並びに薬効成分を同定する．また神麹の製法を改良することで，薬効成分の含量が高く品質が安定した国産神麹を開発する．
神麹は，古来食欲不振や消化不良の改善に用いられてきたことから，薬効として，食欲不振や嘔吐の改善効果に着目し研究を進めることにした．令和元年度の研究の結果より，神麹エキスそのものには食欲増進効果や胃排出の促進は見られなかったため，令和2年度は，神麹を含む漢方製剤「半夏白朮天麻湯 (HBT)」を用いた薬理活性の探索を行った．具体的には消化不良による悪心・嘔吐の評価法として，マウスのパイカ行動に着目し，シスプラチン誘導性パイカ行動に対するHBTの効果を調べた．24時間絶食させた10週齢雄性マウス (ICR) に対してHBTエキス (1000 mg/kg) を経口投与したのちにシスプラチン (5 mg/kg) を腹腔内投与した．その後通常固形飼料とカルミン入りペレットを提示し，シスプラチン投与後72時間まで，12時間ごとに糞便を回収した．糞便重量及び糞便中のカルミン色素を定量することでパイカ行動の観察を行なった．その結果，HBTエキス投与群では，シスプラチン投与による糞便量の減少が改善する傾向が見られたが，糞便中のカルミン色素量に違いは見られなかった．

Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

令和2年度はマウスのパイカ行動を測定するにあたり，ICR系マウスを用い，糞便中のカオリンペレットに含まれるカルミン色素を定量することで，カオリン摂食量を測定した．結果として，ICR系マウスは実験期間を通じてカオリンペレットに興味を示し，かじるという行動を示したため，摂食量ならびに糞便中の色素量の定量がうまくいかなかった．またHBTエキスの単回投与による効果を調べたが，効果に有意差は見られなかった．

Strategy for Future Research Activity

令和3年度は，シスプラチンによる摂食量の減少について過去に報告があるDBA/2マウスを用いて同様の実験を行う．また，HBTエキスは，5日間連続投与を行い，長期的な効果を観察する．
さらに，神麹は原料植物 (ヤナギタデ，オナモミ，クソニンジン) と小麦を混合し発酵して造られるため，植物由来の生理活性成分，polygodial, Xantinin, Artemisinin, Arcapillin等が含まれている可能性がある. そこでこれらの成分をLC-MSにより分析・定量を試みる．もし含まれていた場合は，神麹の発酵過程における経時変化，製法による薬効成分の含量の違いを調べることで，薬効が高い神麹の開発を試みる.

Causes of Carryover

新型コロナウイルス感染症予防対策のため，当初参加予定していた学会がweb開催となり，旅費が不要となったため，繰越が生じた．
そこで令和3年度は動物実験と併行し，可能性のある薬効成分の検出・定量を試みる.
具体的には，一定の微生物が生産する葉酸の定量に必要なELISA Kit (900,000円, Cell biolabs, inc.) や，原料植物由来成分 (Arcapillin, Ivalbin) の定量に必要な標準物質 (50,000円程度)とカラム (50,000円, Waters) を購入予定である．

Research Products

• [Journal Article] Microbial Community Structure and Chemical Constituents in Shinkiku, a Fermented Crude Drug Used in Kampo Medicine (2020)
  • Author(s): Zitai Wang, Kayu Okutsu, Taiki Futagami, Yumiko Yoshizaki, Hisanori Tamaki, Takuro Maruyama, Kazufumi Toume, Katsuko Komatsu, Fumio Hashimoto, and Kazunori Takamine
  • Journal Title: Frontiers in nutritions Volume: 7 Pages: 1-11
  • DOI: 10.3389/fnut.2020.00115
  • Peer Reviewed / Open Access