2019 Fiscal Year Research-status Report
An approach for immuno tolerance induction for prawn allergy using chemically modified allergenic protein
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19K02375
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Research Institution | Miyagi University |
Principal Investigator |
菰田 俊一 宮城大学, 食産業学群(部), 准教授 (50404843)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 甲殻類アレルギー / エビアレルギー / 低アレルゲン化 / メイラード反応 / 化学修飾 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究者は、これまでにエビ由来のアレルゲンタンパク質(トロポミオシン、TM)の化学修飾によるアレルゲン性への影響について、取り組みを進めてきた。この結果、昨年までにメイラード反応を用いてTMを化学修飾することで、アレルゲン性を低減化できることを見出している。本研究は、ここで得られた化学修飾TMを、長期間に渡って摂取することで、免疫寛容を促し、当該アレルゲンに対するアレルギー体質を改善に導くことを目的としている。これまでに、マウスを用いた予備的な検討により、4週間程度の投与を行い、血中の抗体量やその他の指標を確認したところ、明確な結果を得るには至っていない。 化学修飾の方法としては、これまでに研究を続けてきたメイラード反応による方法を使うこととした。TMと反応させる糖類としては単糖類としてリボース、多糖類としてガラクトマンナンを用いた。メイラード反応物は、蒸留水により洗浄することで、簡易的に精製を行い、長期摂取試験に用いた。予備的な検討では、マウスの腹腔内へエビタンパク質を複数回投与して、アレルギー疾患マウスを作成することに成功し、続けて4週間、餌と一緒に経口的に化学修飾TMを摂取させ、抗体産生や発症試験を行った。結果を解析したところ、この4週間では各項目で明確な効果を確認することができていない。ソバやスギ花粉を用いた同様の先行研究では、8週間程度の摂取で効果を見ていることが多かったため、現在、本研究においても摂取の期間を8週に伸ばして試験を続けている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
概ね順調に進んでいるが、新型コロナウイルス感染症蔓延による研究活動の休止を強いられたこともあり、当該期間の作業についてやや遅れが生じている。研究活動が再開された場合には、滞りなく再開できるよう準備を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
当初計画通りにアレルギー疾患モデルマウスを用いたアレルゲン性評価と長期摂取による免疫寛容誘導活性評価を行う。ソバアレルゲン、スギ花粉アレルゲンに関する先行研究によると、ガラクトマンナン等のマンノース残基を含む多糖類をアレルゲンタンパク質と結合させて、長期投与を行うと、細胞表面のマンノースレセプターがこれを認識し、脱感作が誘導される、とされている。このことから、今回本研究で対象としているエビ由来のアレルゲンに関しても、同様の効果があることが期待され、本研究にてこれを明らかにする。ただし、各々のアレルゲンタンパク質によって、物理的・化学的な性状に違いがあるため、エビ由来のアレルゲンタンパク質では、ソバ由来あるいはスギ花粉由来のアレルゲンタンパク質と違った結果となる可能性もある。このため、場合によってはメイラード反応に用いる糖類の種類を工夫する、または、メイラード反応以外の方法による化学修飾を検討するなど、必要性が発生した場合には柔軟な対応を想定している。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルス感染症の蔓延により、継続的に続けてきたマウスを使った動物実験(長期投与試験)の一部が、一旦中止になった。また、関係する学会への参加も中止となった。このため、当該関連の経費費用が使われない状況となった。次年度については、研究活動が再開され、今年度中止になった部分のやり直しも含めて、費用が発生することになる。計画そのものについては、変更はないが遅延分が翌年度繰り越しとなり、関連費用も翌年度発生することとなる。
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