2019 Fiscal Year Research-status Report
ひとり親の階層性に着目した問題解決型集住システムの開発
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19K02380
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
葛西 リサ 立教大学, コミュニティ福祉学部, 特別研究員(日本学術振興会) (60452504)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | シェア居住 / 集住 / シングルマザー / ひとり親 / 居住貧困 / 住宅政策 / シェアハウス / コミュニティ |
Outline of Annual Research Achievements |
全国に点在するシェアハウス及び新規ハウスへの実態調査を実施した。初年度は、シェアハウスの特徴別(事業母体別、家賃階層別、ターゲット別、都市部、郊外、地方等のエリア別、ケアや就労付帯型)課題の把握を行った。 まず、家賃額とケアの負担度については一定の相関関係があることが分かったが、家賃額が上昇しても、人間関係の調整やサービス面の欲求への対応など、異なるケアの提供が求められている事実が明らかになった。 更に、都市部と比較して、郊外、地方においては、慢性的な空室となっている事例も多く、住まいの提供以外のメリット、例えば、職の提供とセットで住まいを支援するなどが効果的ではないかと推測される。 また、2019年度は、大阪喜連瓜破にある、長屋を改修した多世代型シングルマザー向けシェアハウスの調査を新たにスタートした。事業者及び家主への複数回のインタビューののち、入居者へのグループインタビュー、イベントへの参加を通しての観察調査を実施した。同ハウスは、空き家を活用した従来型のハウスではなく、SNSなどを通して先にコミュニティを構築してからメンバーとともにハウスとなるハードの取得を行う手法を採用している点が特徴である。こういった入居者集客方法の相違が居住者同士のメンバーシップにいかに有効に働くか、来年度以降も引き続き調査を行う予定である。 なお、研究蓄積の実社会へのフィードバックとして、2019年10月に開催された、全国ひとり親居住支援機構の全国会議にて、調査結果の報告を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
全国のシェアハウス事業者が参加するメーリングリストに参加し、日常ハウスが抱える課題等の把握を実施した。その他、新規でハウスを開設する事業者については、訪問聞き取り調査を実施し、実態の把握を行った。 本研究では、階層性やハウスの特徴をいくつかの軸に分け、課題の抽出を行うことを目的としているが、その実態についてはおおむね把握ができた。但し、当事者へのアンケート調査等については、その妥当性についての検証が必要である。まず、全国で、現存するシェアハウスが30か所であり、空室が目立つハウスもある。よって、ハウスの当事者へのアンケート調査は、次年度に回し、初年度は、アンケート調査項目を構築するために、許される範囲で当事者への対面ヒアリングを実施した。 なお、本調査では、閉鎖した事例についても、追跡調査を実施することを目的としているが、2019年度も複数の閉鎖事例がでており、それへのフォローも併せて行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度は、新型コロナウィルスによる影響があり、複数の家族が集住するシェアハウスでの生活はこれまで予想していなかった、様々な課題が生じるものと推察される。よって、当初の予定に追加して、シェアハウスにおける新型コロナの影響についても考察したい。 なお、これまでは、集住=コミュニティの付帯というメリットを前提に考察してきたが、今後は、感染症対策という要素を考慮した空間設計が求められるようになると考える。そこで、ハウスの空間の多様性を踏まえたシェアハウスの在り方を検討したい。 また、事業者への許可を得て、当事者向けのウェブアンケート調査等を実施したいと考えている。
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Causes of Carryover |
アンケート調査等の実施を、空室が目立つハウス等の実態を考慮し、当事者面談等に切り替え、その実施を先延ばししたことによる変更が生じた。旅費についても、当初、各シェアハウスへ出向き実態調査を実施するとしていたが、手法をメーリングリストでの課題の共有を密に行うことにより、ある程度、可視化することができた。そのエビデンスをもとに、現地調査を実施するほうが効果的だと判断し、旅費等を翌年度に繰り越すことを決めた。翌年度にアンケート調査や現地調査のための旅費として使用する予定である。
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Research Products
(4 results)