2022 Fiscal Year Annual Research Report
ひとり親の階層性に着目した問題解決型集住システムの開発
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19K02380
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Research Institution | Otemon Gakuin University |
Principal Investigator |
葛西 リサ 追手門学院大学, 地域創造学部, 准教授 (60452504)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | シェア居住 / 子どもの貧困 / シングルマザー / 居住貧困 / 居住支援 / ケア / コンセプト型シェアハウス / 集住 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、ひとり親を取り巻くあらゆる貧困(経済、時間、関係、居住等)が、育児、就労、住宅ほか、生活に欠かせない支援策が縦割りに整備され、相互にミスマッチを起こしているが故に生じるという問題意識のもと、その打開策として、集住により必要な生活インフラ(育児等のケア、就労、コミュニティ等)を合理的に享受できる仕組み「問題解決型集住」システム開発のための諸条件を明らかにすることである。この到達目標に向けて、本研究では、第1に、シェアハウスを求める母子世帯のニーズをシェアハウスポータルサイトのアクセス情報から可視化、第2に運営者へのインタビュー調査から母子シェアハウスの家賃相場と利用者ニーズを整理、第3に民間の不動産市場において、低所得階層を受容するシェアハウスの運営の実現性を事例調査から把握した。 第1の利用者ニーズは、①母子世帯のなかには離婚が成立していないプレシングルマザーが半数以上も含まれており、妊娠中の未婚母子世帯も含まれている。②就労状況は、非正規職、無職が約7割を占めている。③未就学児を1~2名同伴するという傾向が高い。入居の時期と希望エリアについては、④1~3カ月以内といった短期間の間に、⑤できるだけ従前の居住地に近いエリアで住まいを確保したいというニーズが浮き彫りになった。 第2の家賃相場と利用者ニーズについては、家賃の高低にかかわらず、集住の現場ではトラブル等は発生するが、特に低家賃住宅で家賃不払いリスクや人間関係トラブル、疾患への対応など福祉的な支援が求められることが把握された。 第3の低所得階層への集住アプローチの可能性については、行政、社会福祉法人、社会福祉協議会、不動産、大家、非営利組織等のコンソーシアム型シェアハウスの実践事例に触れ、同事例からは、不動産への安心とケアの負担軽減、不払いのリスクヘッジなどの可能性が示唆された。
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Research Products
(12 results)