2021 Fiscal Year Research-status Report
新規の蓄光布を用いて視認性及び持続性に優れ社会的弱者の安全に配慮した蓄光服の創製
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19K02382
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Research Institution | Konan Women's University |
Principal Investigator |
小野寺 美和 甲南女子大学, 人間科学部, 講師 (90523762)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷 明日香 四天王寺大学短期大学部, その他部局等, 准教授 (30413446)
竹本 由美子 武庫川女子大学, 生活環境学部, 准教授 (90581926)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 染色 / 蓄光糸 / りん光輝度 / 洗濯試験 / 摩耗試験 / 高視認性 |
Outline of Annual Research Achievements |
高視認性を発揮する蓄光材は、暗所において災害時の避難誘導灯にも活用されているが、衣服などの繊維材料にはほとんど使用されておらず、現在、蓄光に関する繊維関連の JIS 規格も無い。しかし、これまでの研究で、蓄光布のりん光が人に安らぎをもたらす可能性が示唆され、蓄光布の衣服への応用が期待される。本研究では、JIS T8127「高視認性安全服」の規格を参考に蓄光布を染色した場合のりん光輝度に及ぼす影響を検証した。方法であるが、試料は、蓄光糸((有)ヒロタ工織提供)を緯糸、経糸には蓄光糸(KBセーレンESD50/2諸縒糸, ㈱協同)で織った3種類の蓄光布(平織、綾織、朱子織)を用い、これをオリジナル<試料1>とした。これらを蛍光顔料の高視認色であるピンク<試料2>とイエロー<試料3>に各々後染めを行った。実験方法は、①洗濯試験(JIS L 1930 A4N・5回繰返しを全ての試料同浴で実施)及び②摩耗試験(JIS L 1096 箇条8.19.5E法の「マーチンデール法」)とし、染色の有無や試験前後のりん光輝度測定と表面状態を観察した結果から比較検討したところ、試料1では光源遮断2分後に、15~21mcd/m2と非常に低い値となり、30分後にはほぼ励起せず、りん光が確認できなかった。一方、染色した試料②、③では りん光性能が消失した。蓄光材は水分の影響をかなり受けやすいことが判明した。視認性を高める目的で、蓄光素材に蛍光カラーの染色を試みた結果、励起時の輝度はイエローの染色で高まったものの、光源を遮断するとりん光輝度が著しく低下した。今後の課題として、染色によるりん光性能の持続性について検討が必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
蓄光布を知覚するヒトの心理的影響について、視線計測システムで解析可能な視線計測機械と脳波周波数で解析可能な機器を用いて検討している。暗所に曝露された蓄光布を視認したヒトの心理的影響を、唾液バイオマーカーと、『服装により生起する感情状態尺度』を用いてSD法主観評価測定値から検討しているが、新型コロナウィルス感染拡大防止のため、被験者の確保と、実験環境設定に非常に苦戦している。
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Strategy for Future Research Activity |
国内外のアパレル産業やファッション業界が取り組む蓄光素材に対する研究を調査したところ、蓄光の刺繍糸やファスナー、ファッション用の付属テープ等の開発に専念しており、蓄光布の開発までには至っていないのが現状であった。筆者は、蓄光布や蓄光衣服の設計をとおして、安全を守る服として蓄光素材の利用拡大に努めたい。そして、蓄光布がどのようにりん光するかを実験的に明らかにし、蓄光布を知覚するヒトの心理に与える影響を解明し新規の蓄光衣服の設計に役立てたい。そこで、視認性、着心地、風合い等を対象とする先行研究を調査すると、筆者がこれまでに着手した以下に示す3項目の基礎研究しか存在しない。1.表面形状が異なる蓄光糸のりん光輝度について、2.蓄光布のりん光がヒトの生理・心理反応に及ぼす影響について、3.再帰性反射材と蓄光布を用いた高視認性安全服の設計についてである。 故に今後の研究では、蓄光布を用いてヒトに被覆する蓄光衣服に求められる、視認性、着心地、風合い等について、具体的に検証する。先行研究で実施した蓄光布の染色を応用発展し、「先染」と、「後染」に着目し、各々含まれる染料の含有量と染色堅牢度を測色系(色彩管理ソフト100W、分光放射照度C1-500、分光測色計CM-23d)を用いて計測すると共に、りん光輝度測定値に及ぼす影響も検討する。それらが、どの程度の耐久性を持ちりん光するのかを、①洗濯試験JIS L 1930(A法)と②磨耗試験JIS L 1096(E法)の前後の結果から検討するため、詳細な測定になることから(一財)ニッセンケン品質評価センター防災・安全評価センターに依頼をする。蓄光布の耐久試験前後における蓄光糸の繊維断面や側面の観察形状を電子顕微鏡及びデジタルマイクロスコープを用いて観察し、蓄光布を形成している蓄光糸の耐久性について視覚的に確認をおこなう。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルス感染拡大防止のため、蓄光布を知覚するヒトの心理的影響を調査する、視線計測システムで解析可能な視線計測機械と脳波周波数で解析可能な機器を用いて検討する実験と、暗所に曝露された蓄光布を視認したヒトの心理的影響を、唾液バイオマーカーと、『服装により生起する感情状態尺度』を用いてSD法主観評価測定値から検討する実験が遅れている。被験者を募ることや、実験環境の整備に苦戦しており、当初予定していた実験に必要な経費を使用することができていない。
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Research Products
(3 results)