2020 Fiscal Year Research-status Report
Functional characterization of novel carotenoids-protein complex with aqueous properties found in vegetables and fruits
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19K02383
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Research Institution | Kobe Women's University |
Principal Investigator |
安藤 清一 神戸女子大学, 家政学部, 教授 (80131986)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | カロテノイド / 特異的タンパク質 / 水溶性 / 果実類 / 野菜類 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、野菜や果実類に存在するカロテノイドが水溶性に可溶化されることを見いだし、脂溶性カロテノイドの水溶性化に関わる特異的タンパク質の単離と構造上の特徴を明らかにすることを目的とする。 β-クリプトキサンチンは、新たな生体調節機能が明らかにされつつあるカロテノイドである。昨年度の研究成果において、β-クリプトキサンチンを特異的に含有するウンシュウミカン果肉を水溶性溶媒でホモジナイズし、遠心分離によって得られた上清画分には、8%程度のカロテノイドが存在したが、マスクメロン(赤肉)果肉にくらべて、その割合は著しく低値であった。 今年度、ウンシュウミカン果肉と同様に、比較的多くのβ-クリプトキサンチンを含有するビワ果肉を4倍量の0.9%食塩水でホモジナイズし、遠心分離(20,000 x g、20分、5℃)した結果、8.3%のカロテノイドが上清画分に回収された。上清画分をゲル濾過カラムに供した結果、カロテノイドはタンパク質と同一の溶出位置に存在した。次いで、上清画分に存在するタンパク質とカロテノイドとの関連性を明らかにするために、遠心分離後の上清画分を分画分子量の異なる限外濾過に供したが、カロテノイドはメンブレン表面に強く吸着し、上清画分の濃縮には至らなかった。他方、飽和度90%になるように、固形硫安を遠心分離後の上清画分に添加した結果、不溶化したカロテノイドは浮上し、遠心分離によって回収することができた。したがって、遠心分離後の上清画分を濃縮する上で、硫安塩析はきわめて有効な方法であることが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度のウンシュウミカン果肉と同様に、今年度は比較的多くのβ-クリプトキサンチンを含有するビワ果肉を対象として、水溶性に可溶化されるカロテノイドとタンパク質との複合体の調製と特異的タンパク質の単離を行った。その過程で、ウンシュウミカン果肉とは異なり、ビワ果肉では酵素的褐変反応の進行が極めて速く、上清画分に混入する黄褐色の褐変色素を除去することが困難であり、カロテノイドを水溶性に可溶化する特異的タンパク質の特定には至らなかった。 本研究課題を遂行する上で、褐変反応に関わる酵素活性の高い果実ではなく、ニンジンなどの野菜を実験材料に使用することが重要であり、またカロテノイドとタンパク質との複合体の濃縮に硫安塩析が有効であることを確認しているため、研究期間内に所期の研究目的を達成できると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度以降の研究において、実験材料としてニンジン等の野菜を使用して、カロテノイドを水溶性に可溶化する特異的タンパク質の単離と、特異的タンパク質組換え体によるカロテノイド水溶性化の有効性に取り組む。 カロテノイドを水溶性に可溶化する特異的タンパク質の単離については、遠心分離後の上清画分を硫安塩析(飽和度90%)、次いでイオン交換およびゲル濾過カラムクロマトグラフィーに供し、450nmにおける橙色をモニターすることにより、特異的タンパク質を精製する。精製タンパク質のN末端および内部アミノ酸配列に基づくPCRを行い、特異的タンパク質をコードする遺伝子を増幅・単離し、遺伝子データベース検索によって相同性のあるタンパク質を特定する。 特異的タンパク質組換え体によるカロテノイド水溶性化の有効性については、カロテノイドを水溶性に可溶化する特異的タンパク質cDNAを融合タンパク質発現用ベクターpGEXに組み込み、タンパク質発現用ベクターを作製し、宿主大腸菌を形質転換させる。大腸菌発現系によって誘導された組換え体タンパク質を用いて、β-カロテン、β-クリプトキサンチン以外のカロテノイドの水溶性化を調べる。また、脂溶性カロテノイドの水溶性化に関わる特異的タンパク質の新たな可能性を探るために、ラジカル消去能や抗酸化活性を指標として、水溶性化したカロテノイド-タンパク質複合体の機能性解析を行う。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス禍の中において、研究活動のための時間を確保することが昨年度以上に難しく、英文校閲や論文別刷の経費が未執行となった。未執行の使用額を令和3年度に繰り越し、カロテノイドを可溶化する特異的タンパク質の単離に必要な消耗品費として使用する予定である。
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