2020 Fiscal Year Research-status Report
追熟バナナに含まれるグルテン代替成分と製パン時における膨化(気体保持)機構の解明
Project/Area Number |
19K02385
|
Research Institution | Hyogo University |
Principal Investigator |
細川 敬三 兵庫大学, 健康科学部, 教授 (30311393)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | バナナ / 追熟 / グルテンフリー / 発酵量 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者はグルテン代替成分の探索を行い、追熟バナナ(RB)に含まれる分子量6,000以上の水溶性高分子成分がグルテンの代替となる可能性を見出している。本年度は、追熟バナナ成分が発酵に寄与する要因(特性)についての調査を実施した。 先ず、使用する乾燥酵母の発酵特性を把握するため、発酵力を二酸化炭素生成量を指標として評価した。評価項目は、糖(グルコース、フラクトース、スクロース、マルトース)とその濃度、発酵時の至適pH(3.5から8.0)である。次に、20℃で0から4週間追熟処理したバナナに含まれる4種の糖の含有量について分析を行なった。 以上の結果から乾燥酵母は、グルコース、フラクトース、スクロースを資化することができ、その資化能はほぼ同じであった。一方、マルトースを資化することができなかった。発酵の至適pHは4.5から5.5であった。バナナの追熟に伴う糖量の変化は、総量は1週目で最大値74.6%であった。個々の糖は、グルコース(28.5%)とフラクトース(32.3%)は3週目、スクロース(42.4%)は1週目で最大であった。マルトースはほとんど含まれていなかった。 これらの基礎データをもとに以下の項目について発酵力を調べた。(1)0から4週間処理した追熟バナナでの発酵量。(2)追熟バナナに含まれる糖と同じ組成と量での発酵量。(3)小麦澱粉とバナナ粉を原料とした時の発酵量。(4)透析膜によるバナナ水溶性成分の分画と各画分およびそれらの組み合わせによる発酵力。 この結果から(1)0から2週目までの追熟バナナでは発酵量が徐々に増加したが、その後は低下が見られた。(2)発酵量に差は見られなかった。(3)1から4週目で発酵量はほぼ同じであったが、0週目では75%程度の発酵量であった。(4)分子量が6kD以下の画分で発酵の促進効果が見出された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度は、追熟バナナに含まれる発酵を促進する成分の同定を実施したいと考えていたが、十分な実験時間が確保できなかったため成分の特定に至らなかった。
|
Strategy for Future Research Activity |
製パン過程には重要な工程が2点ある。一つは生地の発酵、もう一つは発酵過程で生成する二酸化炭素の生地内への保持である。本年度の研究から追熟バナナに発酵を促進する成分の存在が示唆された。また、これまでの研究からグルテンの代替となる可能性が高い成分は、分子量6,000以上の成分であると推定されている。従って、今後は以下の2点について研究を進めて行く予定である。 (1)発酵を促進する成分については、成分を特定するため、分子量をさらに細かく分画して発酵量を確認しながら成分を特定をする予定である。 (2)グルテンの代替となる可能性が高い分子量6,000以上の成分について、その成分の特定を進めて行く。
|
Causes of Carryover |
本年度に実施予定であった追熟バナナに含まれる成分の特定使用する経費(HPLC用カラム、分析用溶剤など)が未使用であった。この経費を来年度に使用予定である。
|
Research Products
(1 results)