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2020 Fiscal Year Research-status Report

自己に内在する公共性を喚起し、個人と公共性の矛盾を解消する道徳教育の在り方

Research Project

Project/Area Number 19K02390
Research InstitutionIbaraki University

Principal Investigator

生越 達  茨城大学, 教育学研究科, 教授 (80241735)

Project Period (FY) 2019-04-01 – 2023-03-31
Keywords子どもに学ぶ理解 / 異質な他者 / 対話性 / 他者とのつながり / 内なる公共性
Outline of Annual Research Achievements

これまでの研究において、個人の自由と公共性は矛盾しないこと、もともと自己には公共性が内在しており、自己は他者とつながることによって真の自己になりうることがわかっていたのだが、2020年度においては、さらに自己の内なる公共性を喚起するためには、異質な他者との対話が必要であること、その意味で、教育(授業)において、対話性を大切にすることが自己に内在する公共性を喚起することにつながることが明らかになった。対話性を育成することにより、他者とのつながりを自己に内在化することが可能になり、その結果自己はおのずから公共的存在となっていく。
そしてこの対話性育成の基礎の一因となるのは、教師の児童生徒との向き合い方であり、教師が教師の枠組みで子ども理解を行うのではなく、子どもに学ぶ理解といった理解のスタイルが求められることを明らかにした。これまで林竹二の論を中心に検討を進めてきたが、2020年度においては、田中正造を取り上げたり、またハイデガーやアーレント、ブーバーなどの哲学者の思索と関連づけながら、異質性に拓かれた対話の重要性について明らかにしている。
その成果は、「教職大学院で育む実践力(4)-生命への畏敬から生まれる対話としての教育―」(『茨城大学大学院教育学研究科 教育実践高度化専攻(教職大学院)年報』第5号、pp.3-32で公表している。
2020年度においてはコロナ禍のこともあり、研究先進校における実際の授業を観察することはできなかった。そのため、2021度は授業観察を重視するか、あるいは状況がそれを許さない場合には、何らかのほかの方法を取り入れるかして、具体的な授業の在り方について検討を進めたいと考えている。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

研究の理論的な部分についてはおおむね順調に進んでいる。その成果の公表も行っている。ただ、2020年度の研究は、そうした理論的研究を踏まえて道徳教育や公共性を育む可能性をもっている先進校の実践を観察させていただき、具体的な実践から帰納的に内なる公共性について検討を進めること、さらにはもともと児童生徒の内に内在している公共性が外在化するとは限らないことから、どのような実践が求められるかを考えることだったが、2020年度のみではなく2019年度の後半から始めるはずだった授業観察がコロナの影響でまったく実現できず、文字化されている実践からの検討にとどまっており、その点で研究の進展に支障をきたしている状況である。

Strategy for Future Research Activity

2021年度の研究の課題は、これまでの理論研究に基づき、具体的にどのような実践を行うことができるかを検討することである。先進校等の研究授業を見ることはコロナ禍では難しいと思うが、茨城県内の学校の研究にかかわることができる予定なので、その場に仮説を提案させていただきながら、その実践の評価を行うことにより、検討を進めたいと思っている。その結果に基づきながら、さらに理論的な研究を深めるといった理論と実践の往還を行い、2022年度のまとめの研究につなげたい。もちろん、コロナ禍が収まり、先進校の実践の観察できる状況が整えば、観察にもとづく研究も進めたいと考えている。

Causes of Carryover

2019年度後半から2020年度いっぱいにかけて、先進校訪問を行う予定でいたが、コロナの影響によりその方向での研究を進めることができなかった。そのため先進校訪問や研究にかかわる情報の取得のために予定していた旅費(先進校訪問、学会参加)の執行がまったくできず、また付随して実施する予定だった先進校で得たデータの処理等に必要な人件費を使用することもできなかった。そのために次年度使用額が生じてしまっている。今後の計画としては、依然としてコロナ禍にある以上、先進校訪問は難しいと思われるため、もちろんコロナに関する状況がよくなれば以前の計画の通りに研究を進めるとしても、より文献に頼った研究に方向転換する必要がある。また、茨城県内の学校での研究に参加できる状況にあるので、これまでの研究の成果を当該学校で実践してもらうことで、研究を進めていくよう予定を変更するつもりおり、次年度使用額はこれらに必要な旅費等として使用する予定でいる。

  • Research Products

    (1 results)

All 2021

All Journal Article (1 results)

  • [Journal Article] 教職大学院で育む実践力(4)-生命への畏敬から生まれる対話としての教育―2021

    • Author(s)
      生越達
    • Journal Title

      茨城大学大学院教育学研究科教育実践高度化専攻(教職大学院)年報

      Volume: 第5号 Pages: 3-32

URL: 

Published: 2021-12-27  

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